紅葉の美しさを求めて福島へ!
紅く色づく季節の知らせが届く。ピークハントの醍醐味は、まさにそこにある。昨年に続き、今年も文字通りの紅葉狩りをすべく、車首を東北・吾妻連峰に向ける。紅葉シーズン真っ盛りには磐梯吾妻スカイラインの渋滞のメッカ・浄土平からコバルトブルーの瞳と、山を埋め尽くす緑、黄、紅の秋のトリコロールカラーのインスタ映えを狙う!
初出:オンリーメルセデス Vol.206 12月号(一部加筆・修正)
メルセデスのミニバンでリゾートエクスプレスの旅
長かった自粛生活も緊急事態宣言の全国的解除を、ようやく迎えるに至った今秋。ならば紅葉を愛でにピークハントだよな、と、ドストレートな解釈を実行した。前年の紅葉ハイクの楽しさに味をしめたスタッフの標的ピークは、その福島県・磐梯吾妻連峰の名峰・安達太良山の北に位置する吾妻山・一切経山に決定。山頂から眺める「魔女の瞳」と、紅葉の共演を誌面に写し取るべく東北道を北上する。パートナーにはメルセデスのミニバン、V220dアバンギャルド・ロングに務めてもらう。
この8月に年次改良されたVクラス。安全運転支援システムのレーダーセーフティパッケージの機能を追加している。アクティブライフを楽しむミニバンファンのベストチョイスな一台として一層魅力を高めた。大型のディスプレイパネルに「ハイ、メルセデス! 目的地、浄土平ビジターセンター」と声をかけ、その巨体を押し出す。
2.5tを超える車重を物ともせずに、定評のOM651型ディーゼルユニットは高速道路を快走。163psの最高出力は数値的には物足りなく感じるかもしれないが、380N・mのトルクがしっかりサポートしてくれる。
しかも撮影車両はオプションの2列目セパレートタイプのエクスクルーシブパッケージを装備。電動オットマンシートは、ただただ快適。300km超の移動距離でもパッセンジャーはストレスフリーで時を過ごすことになる。時折、耳に流れてくるうたた寝の寝息に、ドライバーはほくそ笑むことだろう。もちろん財布との厳しいやりとりが必要だが、可能なら97万円のオプションは考えても十分にメリットはある。
ワインディングを駆け上がり山登りの出発地点「浄土平」へ
今回ルートは二本松ICから西北に走るルートを選択。吾妻磐梯スカイラインのつづら折りをゆったりと走り上る。左右にちらほらと紅葉萌えが始まった山岳路が美しい。巨大なグラスエリアを誇るVクラスは、まるでリゾート観光バス気分に浸ることができる。
標高1580mに位置する目的地の浄土平ビジターセンターは、約1000台収容可能な巨大有料駐車場を抱える。池塘の湿原で知られる浄土平をはじめ、一切経山、吾妻小富士のハイク基地だ。駐車料金500円を支払いVクラスを駐機する。目前には吾妻小富士を登るハイカーたちの姿をしっかり見ることができる。そう、吾妻小富士は標高1707m。標高差わずか120mでその広大な噴火口を見下ろすことができるので、観光客が登山道に連なっているのだ。整地されたルートは、それこそスニーカーで登り切ることができる。
吾妻小富士を背に一切経山の登山道を進む。ロープで仕切られているのでルートを誤ることはない。酸ヶ平に入ってからは木道が案内してくれる。湿原の草紅葉は、文字どおり燃えるような紅。写真愛好家たちがこよなく愛する景観に目を奪われる。足に自信のない人は、この酸ヶ平〜鎌沼へと続く湿原を散策するだけでも十分に楽しめる。
数々の映えポイントを長めながら目的地へ
山頂に向かう登山道の途次にある避難小屋が、一切経山が活火山であることを再認識させる。トイレ完備なので休憩にも使える。ここから若干の急登が待っている。ザレた登山道はトレッキングシューズが必要だ。振り返れば酸ヶ平湿原の鎌沼まで視界に捉えることができる。草紅葉と、緑と黄色、そして赤の紅葉トリコロールに染まる山裾に、しばし目の保養。そしてピーク手前にもうひとつのビューポイントが右手に広がる。吾妻小富士の大噴火口を睥睨することができるのだ。その巨大な釜の迫力に圧倒されるはずだ。
山頂標識は年季の入った木標。近づかなければ山名も読み取れない。そして山頂標識の先に魔女の瞳はコバルトブルーに輝いていた。期待通りの美しさ。その深みのある色の湖沼は、天気次第で表情を変えると言われる。この山の魅力は、美しさと荒々しさを両手にすることができることに尽きる。最高の出会いの感動を目に刻み込み、下山。往路をピストンで帰路につき、今回も山メシは下山後に。