90年代トヨタを支えた2大ミニバンを振り返る
1990年代後半と言えば、現代にまで続く多くのミニバンたちが誕生したミニバンブームの時期でした。その火付け役とも言えるのがホンダのオデッセイなのですが、この先駆者たちに対抗するため、トヨタから登場したのがイプサムとカローラスパシオでした。
オデッセイの大ヒットでトヨタも動いた
1994年に登場した初代オデッセイ。当初の国内販売計画台数は月販3000台と控えめにされていました。しかし、大人数が乗車可能なワンボックスながら、全高の低さと前後ダブルウィッシュボーンを用いたサスペンションで、「走りもイケてるミニバン」として登録台数は3ナンバー車トップになるほどの大ヒットを記録。
このオデッセイの成功を受け、「時代は大人数が乗れる乗用ワンボックスだ!」という風潮になり、各メーカーがのちにミニバンと呼ばれるようになる乗用ワンボックスの開発に着手するようになります。
5ナンバーサイズミニバン「イプサム」の誕生
オデッセイのヒットを受け、1996年にトヨタがまず世に送り出したのがイプサムでした。ヤングファミリーをターゲットにしたこのモデルは、取り回しのいい5ナンバーサイズに9通りのシートアレンジと7名の乗車が可能な広々とした室内空間を持っていました。
当時のプレスリリースには「ファミリービークル」という表現が用いられていて、「ミニバン」という言葉が確立されていない点に時代を感じます。
また、イプーという今風の表現で言うところの「ゆるキャラ」を使ったプロモーションも特徴的で、ファミリーをターゲットにしている姿勢がこういったソフトの部分からも伝わってくるモデルでした。
2001年に2代目へと進化。3ナンバーサイズへとボディは大型化され、内装も豪華になります。メッキが施されたラジエーターグリル(スポーティ系グレードを除く)や木目調パネルなど、エクステリアとインテリアの両方から高級感を意識したことを感じさせるデザインでした。
装備面も豪華になっていて、上級グレードにはパワーシートが装備されたほか、電子制御サスペンションなども用意されていました。しかし普及しつつあるスライドドアミニバンには立ち向かうことができなかったためか、2009年末で生産終了となってしまいました。