攻めの「アライメント調整」で理想のクルマに近づける!
「アライメント」とは、クルマに装着されているタイヤの向きや角度のこと。一見するとタイヤは「まっすぐ」に付いているように見えるが、微妙に傾いたりしていて、完全に進行方向に向いているわけではない。その角度を調整することを「アライメント調整」という。
車種ごとに自動車メーカーから標準値が決められているが、その数値に合わせることだけがすべてではない。アライメントの調整次第で、もっと曲がるクルマにも、高速道路が楽なクルマにも味付けできるのだ。
「トー」は「ボーゲン」か「ガニ股」か
タイヤは進行方向への向きを「トー」、傾きは「キャンバー角」と呼ばれる。トーはスキーのボーゲンのように前を狭く、後ろを広くすると「トーイン」。逆にガニ股状態で前を広く、後方を狭くすると「トーアウト」と呼ばれる。キャンバー角はハの字になるほど「ネガティブ」。現代ではあまりないが、その逆は「ポジティブ」キャンバーと呼ばれる。
一般的に、前後タイヤともにトーはゼロか、わずかにトーインになっていることが多い。キャンバー角もほぼゼロが普通である。
車検整備ではこの数値内に収まっていて、サイドスリップが既定値ならば「ハイ、OK」である。しかし、それだけではせっかくのクルマがもったいない! 数万円で調整できて乗り味が激変する、超コストパフォーマンスに優れたカスタマイズが「アライメント調整」なのだ。
「トーイン」は、ステアリングの切り始めのレスポンスに優れる。逆に言えば、大きくインにすると高速道路などでステアリング操作に過敏な味付けになる。また、大きく切ったときに少し曲がりにくい。
逆に「トーアウト」は切り始めのレスポンスが鈍く、よく言えばおだやかになる。悪いく言えばダルい。でも、大きく切ったときに曲がりやすい。
「キャンバー角」はタイヤの傾き
「キャンバー角」はクルマがロールしたとき、タイヤの接地を良くするために調整する。過度に付けると直進時の接地面積が減るので、加減速で不安定になりやすい。サーキット以外ではあまり付ける必要はない。
また「ネガティブキャンバー角」が増えるほど、タイヤは倒れている方向に向かおうとする。すなわち、トーインに近い動きになる。キャンバー角が多めだと、これまた過敏にステアリングに反応するクルマになってしまう。
サスペンションからスプリングを外して、ジャッキで支えながら車高を変えてアライメント変化を測定すると、ストロークするほどにキャンバー角は増える。トーもサスペンションの設計によって安定方向に動くようになっている。