意外と悩ましい「車中泊がしやすいクルマ」の選び方
車内で就寝するクルマとしては、一般的にはセレナのようなミニバン、ハイエースなどのワンボックスバン、N-BOXを始めとする軽自動車のハイトワゴンなどが購入の対象に入る。空間効率の優れた天井の高いボディは車内も広く、就寝に適するからだ。
しかし例えば、立体駐車場の利用もできることを前提にすると、全高が1600mmを超えるミニバンやハイトワゴンは選びにくい。背の高いクルマに対応した立体駐車場もあるが、設計が古い場合の全高の許容を考えたら1550mm以下のクルマに抑えておきたい。
また背の高いクルマの外観や高重心の運転感覚を好まないユーザーもいる。立体駐車場を利用しやすい全高で、車内の就寝が可能なクルマはないのだろうか。
ゆとりあるワゴンの良さは「走り」と「ちょうどいいサイズ」
そこで候補に挙がるのがワゴン(ステーションワゴン)だ。全高は大半の車種が1550mm以下に収まり、室内高は低めだが、後席を畳むと長い荷室にアレンジできる。ここでは7年落ちになる2014年式のワゴンを取り上げたい。
もっとも注目されるのは、スバルの5代目レガシィツーリングワゴンだ。全長は4700mmを上まわり、空間効率も優れているから、後席を倒して前席の背もたれも前側に寄せると約1900mmの荷室長を確保できた。
アテンザもレガシィツーリングワゴンと同様、後席を倒すと最大で約1900mmの荷室長を確保できる。車内の宿泊に適したワゴンだ。
現行型の登場は2012年だから、2014年式なら現行型を買えることも魅力になる。価格は現行型の割に安く、110〜140万円が充実する。クリーンディーゼルターボのXDは高めだが、2.5Lガソリンエンジンの25S・Lパッケージには割安な車両が多い。ワゴンだから走行距離は全般的に長く、7年落ちだと5万km以上の車両が目立つが、現行型だから外観の古さは感じない。
コンパクトでも車内が広い「フィットシャトル」
コンパクトワゴンではシャトルに注目したい。2014年式はフィットシャトルと呼ばれ、コンパクトサイズながらも車内は広かった。空間効率の優れたフィットをベースに開発されたからだ。後席を床面へ落とし込むように畳むと、荷室長は約1800mmに達する。荷室高にも余裕があり、車内で就寝するときの使い勝手はレガシィツーリングワゴンやアテンザワゴンなどのミドルサイズに近い。
フィットシャトルの2014年式の中古車を見ると、ハイブリッドが多いが、ノーマルエンジンであれば70〜80万円で走行距離が2万km以下の上質な車両も選べる。フィットシャトルは外観に丸みがあり、ワゴンらしさが乏しい。これは欠点でもあるが、人気も低いために価格の割安な中古車を選べる。コンパクトサイズとあって、年式の割に走行距離が短いことも魅力だ。