雨の日であれば軽トラでも高度なドリフトテクニックを発揮可能
ドライビングテクニックのひとつとして、自動車レースでも用いられているドリフト。アクセルやクラッチ、サイドブレーキなどを巧みに操ってタイヤを横滑りさせながら、コーナーを攻めるワザである。タイヤから上がる大量の白煙や「ギャギャギャ……」というスキール音などもインパクトがあり、見る者を楽しませてくれる。D1グランプリを筆頭にドリフトを主体としたモータースポーツの開催で認知度も広まり、国内にとどまらず海外からも注目を集めている。
ドリフトの人気車種はAE86トレノ&レビンやS13シルビア、R34スカイラインにJZX100マークllなど、どれも中古車市場で人気の高いスポーツカーが中心。その一方で、初心者でも手軽に始めやすいということで注目を集めているのが、軽トラックでのドリフト。仕事車として重宝されるコンパクトなトラックが、テールスライドさせながら走る姿は想像しにくいが、聞くところによると愛好家たちによるコミュニティも存在するほど楽しい遊びらしい。非力でも高いパフォーマンスを体感できるため初心者でも気軽に始めやすく、しかもお財布にも優しい。そんな軽トラドリフトの魅力について詳しく解説する。
中古スポーツカーはますます高騰! でも軽トラはタマ数が多くて値段も手頃
軽トラがドリフトのベース車両に選ばれる理由はFR、いわゆる後輪駆動(2WD)であること。ハンドリング性能に優れているため、多くのスポーツカーに採用されている駆動方式が働き者の軽トラに採用されていることが大きい。しかも軽トラはマニュアルミッション車が非常に多く、ドリフトに向いている。
リヤタイヤのグリップを落とせば非力な軽でもドリフト可能
ただFRの軽トラでも、ドリフト仕様にするには多少の小細工が必要。それでもスポーツカーと比べたら初期費用はそれほどかからないのも魅力。
・足まわりを車高調に交換してしっかりと固める
・左右均等に駆動力を伝えるためリヤのデフを溶接加工などでロックする(社外のLSDも出まわっているが高価)
・リヤタイヤをスタッドレスに交換する
たったこれだけでOK。コストパフォーマンスの高さに驚かされる。しかしパワーはスポーツカーよりもかなり非力なので、雨の日など路面がウエットの方がドリフトしやすい。スタッドレスタイヤに交換するのも、雪道には強いが濡れた路面に対して滑りやすいという特性を生かしたもの。ドリフトによる挙動の変化を体感しやすく、ビギナーでも楽しめる。
サーキットを借りて、軽トラだけの走行会を開くのも面白い!
Kさんはクルマ屋さんや趣味仲間などに声をかけ、「雨活」という軽トラだけのドリフトグループを結成。ドリフトしやすい雨の日にドリフト活動をしている、と名前の由来もわかりやすい。大半のメンバーはもともとドリフト初心者で、経験を積みながら腕を磨いている。
走る場所はもちろんクローズド。参加できるメンバーを募り、サーキットを予約して限られた時間のなかで走りまくっている。サーキットを借りるのはお金がかかるというイメージがあるが、平日であれば料金は割安となり、使用料金を参加者の数で割ると意外とひとりあたりの負担額はそこまで多くはない。
「雨活」のメンバーがよく走るサーキットは、奈良県の名阪スポーツランド。走るときは当然グローブとヘルメットを着用する。走り終えたあとは竹ぼうきを使って土を掃くなど、必ずコースの清掃も行っている。遊びとは言っても、つねに紳士な気持ちで挑んでいるのだ。