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史上もっとも贅沢な「ロータリー」だった! 空前絶後の贅沢クーペ「ユーノスコスモ」

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

質感にこだわった内装も魅力的だった

 一方でインテリアも、エクステリアに負けず劣らない見せ場だった。2ドアクーペであり2+2のレイアウトとしながらも、乗員を包み込むような流れるようなデザインはそのままドアトリム、センターコンソールへと連続。ユーノス・コスモ

 仕様(タイプE)によりシート、内装にはオーストリア製天然牛皮が使用された。本革本来の風合いを活かすためにコーティングも可能な限り薄いものとされたほか、インパネガーニッシュには、フランス・リヨン産の楡材をイタリア・ミラノの工房で丹念に磨き上げたものを使用。ユーノス・コスモ

 メーターパネルは、イグニッションキーをオンにすると浮かび上がるようになっており、インパネ上には無用にスイッチ類を並べておかない配慮は、スッキリと上質なインテリアのムードを保っていた。ユーノス・コスモ

 さらにユーノス・コスモでは、当時としては世界初のGPSS、自動車用サテライト・ナビゲーションシステムを投入。これは自立推測航法と衛生航法の技術を組み合わせた複合ナビゲーションシステムで、高精度かつ実用性の高さが特徴だった。ルーフにはこのシステムのためのGPSSアンテナを備えていた。ユーノス・コスモ

2機種のロータリーエンジンが設定されていた

 一方でパワーユニットには、3ローターの20B-REW(280ps/41.0kg−m)と、2ローターの13B-REW(230ps/30.0kg−m)の2機種のロータリーエンジンが設定された。いずれも世界初だったシーケンシャルツインターボを作用することで、3ローターの20B-REWでは、わずか1500rpmで35.0kg−m、2000〜4000rpmで40.0kg−mを超えるビッグトルクを発生するなどし、ユーノス・コスモに余裕の走りをもたらした。ユーノス・コスモ

 サスペンションにフロントがダブルウイッシュボーン、リヤにはツインダンパー付きのマルチリンク式を採用。リヤサスペンションについては、すべてのコントロールリンク支持部に採用したピローボールおよびピローボール付ブッシュが、後輪のバンプ〜リバウンドに伴って生じがちな、角リンク支持部のネジレやコジレを解消(カタログより)することで、なめらかな乗り心地を実現していた。 

 ほかに操作時以外はセンターコンソールのリッドで隠せるオーディオシステム(チューナーデッキはNAロードスターと共通のようだったが、パネル面の最下段のボタンは上向きの専用になっていた)は、カセットモードからでもチューナーやCDの電源を入れれば自動的に切り替わった。アナログだが、今のタッチパネル式でしかも階層を追っていかないと求める機能になかなかたどり着けないような操作ロジックよりも、遥かに操作性がよかった……とつくづく思う。余談だが。

 今とはクルマに求められる(あるいは求めることが許される)要素がまったく違った時代。ユーノス・コスモは価格もセンスも大人のためのクーペだったが、それでもピュアに夢を求めて実現していた、そんな姿勢が目にまばゆいクルマだったように思う。 

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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