バンになっても魅力的なカローラ
トヨタのバンといえば、もう1台忘れてはいけないのが、カローラ・バンだ。もちろん当初から設定があり、初代カローラが発売となった1966年の翌年の1967年に、4ドアセダンと同じタイミングで登場させている。
写真のカタログはいずれも2代目のものだが、総合パンフレット(東京モーターショーで配布されたもの)には、2ドアと4ドアのふたつのボディタイプが用意されていたのがわかる。“人気者カローラの魅力をそっくり受け継いだ、うれしいコマーシャル(4ドア)”、“いきな容姿にエネルギッシュな闘志を秘めています(2ドア)”といった説明が載せられている。また、同じページにパブリカのバンとシングルピックアップの写真も見られる。
赤いボディ色のカタログは、こちらのほうが2代目にフルモデルチェンジした最初のクルマで、“躍動する〈曲線美〉”などとコピーがあり、リヤクオーター(カタログでは“リヤ・コーター”と表記されている)部分のデザイン上のアクセントの説明もある。搭載エンジンは、セダンのデラックス/スタンダードにも搭載した1.2LのOHV、3K型(68ps)となっている。
またカローラバンは、のちにFR最後の4代目の後期型(1983年8月)世代で、45mmルーフを高めハイフーフ化するなどした。
クラウンやカリーナにもあったトヨタのバンモデル
一方で前出の総合パンフレットの対向ページには、コロナ・バン、マークIIバン、さらにクラウン・バンが載っている。コロナ・バンは4代目の後期型で1.6Lエンジンを搭載。荷物の積載量はカローラ・バンより100kg余裕のある500kg/300kg。コロナ・マークIIは初代の後期型、いわゆるイーグルマスクで、シングルピックアップとともに。クラウンはのちに“クジラ・クラウン”と呼ばれた4代目のもので、ワゴンのカスタムとともに設定があった。
車種でいうと、そのほかにカリーナにもバンが設定されていた。バンは1977年登場の2代目カリーナの世代から登場。写真のカタログ(1979年9月)はその後期型で、もう1世代、1981年登場の3代目カリーナベースの2代目ワゴンまでがFR。1988年登場の4代目カリーナがFF化されたのに伴い、3代目のカリーナ・バンもFFとなった。
トヨタのバンというと、今はプロボックスに集約されているのはご存知のとおり(先代カローラ・フィールダーその役割を果たすモデルとして残されてはいるが)。けれど、昔のバラエティに富んだ顔ぶれが揃う時代は気持ちがホッコリとさせられてよかったかぁ……と、つい遠い目になってしまう筆者である。