愛着もって育てればビンテージ感が演出できるキャンプギア!
キャンプブームが吹き荒れる昨今、新しい道具を揃えてキャンプ場に繰り出した人も多いはず。だが、ピカピカに輝く新品の道具は「キャンプ初心者です」と宣言しているようで、気恥ずかしい思いをした人も多いのではないだろうか。
年季の入った道具でノンビリとキャンプを楽しむベテランの姿は憧れであり、そんな存在になりたいとビンテージの道具を揃えるキャンパーも急増しているという。そこで、今回はキャンプにおける「ビンテージな道具」について語ってみよう。
プレミアム感が演出できるビンテージな道具のススメ
そもそも、ビンテージな道具とは時代を経た誇るべき「遺産」であり、そこには「時間」と「歴史」が存在している。現在、ビンテージと呼ばれる道具は中古市場でも注目され、その価格が高騰しているという。しかし、「時間」と「歴史」を手に入れるのだから価格が高くなることは当たり前のこと。また、時代を経ることにより「廃番」となってしまっていたり「形状変更」などが行われ、新品(現行モデル)として手に入れることができないというプレミア感も大きく影響している。
ビンテージな道具を手に入れることは決して悪いことではないが、ビンテージな道具は「育てるもの」だと思っている。新品の道具を携え、キャンプの回数を重ねていくことで歴史は積み重なっていく。10年、20年と使い続けることで共に人生を歩んだ相棒となり、より愛着が沸くのである。
ここからは個人的な意見なので参考程度に聞いてほしいのだが、ボクの道具選びは「10年後も使える」ということを基準にしている。流行や話題になったアイテムを手に入れるのも楽しいが、一過性のアイテムには長く使い続けることができないものも多い。
10年、20年……、生涯を共にすることを考えると「定番」と呼ばれるアイテムが多くなる。友人にはキャンプを始めてから半世紀を越える猛者も多く、彼らのキャンプサイトは時代をタイムスリップしたような独特の雰囲気を醸し出している。レトロな道具に囲まれ、美少年のような笑顔に刻まれた年輪は一朝一夕では手に入れることのできない、偉大なる勲章なのである。
末永く愛用できる道具と出会うことがアウトドアのさらなる幸せになる
キャンプ道具をビンテージに育てるためには、メンテナンス性の良さや補修部品の供給が大きく影響することは間違いない。ひとときの流行で荒稼ぎをして姿を消してしまうブランドよりも、コツコツと手を入れながら愛でることのできる息の長いブランドだけが、ビンテージとして生き残るのである。
自分の経験と共に育てて行くことがビンテージの正しい育て方であり、キャンプ道具を愛でる大きな楽しみでもある。そのためにも長く使い続けることができるアイテムを吟味してほしい。
堅牢さとシンプルなデザインが永遠の定番アイテム
【ビンテージなキャンプギア01/バック110 フォールディングナイフ】
30年以上も使い続けているアメリカ製のナイフが「バック110」だ。当時、憧れていた美しいナイフは数多くあったが実用性を重視して手に入れた一本がコレ。ブレードの背中を薪で叩くなど、手荒に扱ってもビクともしない堅牢さとシンプルなデザインが魅力の永遠の定番。
ブレードの付け根部分に、生産された年代が識別できる刻印が入っているのも、ビンテージへの世界へと誘う大きなポイントだ。この個体は「BUCK110/U.S.A.」の刻印を持ち、1972年から1986年までに生産されたモデルということを物語っている。
コンパクトボディで強力な火力を誇るデッドストックなシングルバーナー
【ビンテージなキャンプギア02/ユニフレームUS-600シングルバーナー】
CB缶(カセットボンベ)をダイレクトに横置き使用できる、コンパクトなシングルバーナー。じつは購入後に倉庫のなかで行方不明になり、最近、数十年振りに発掘されたデッドストックだ。コンパクトなボディながらも3900cal/hを発揮するハイパワーモデルだが、使用しない間に廃番商品となり希少性は高い。
コンパクトさを味方にバイクでのツーリング用、車載の野点用として一軍に復帰した遅咲きのヒーローである。燃料となるCB缶はコンビニや100円ショップで購入できる利便性も大きな魅力だ。
100年の歴史を誇る一時代を築いたアメリカンコーヒー抽出器
【ビンテージなキャンプギア03/ミロ パーコレーター】
ひと昔前は「パーコレーター=ミロ」と呼ばれるように、キャンプの定番アイテムとして人気を博していたが、最近はキャンプサイトで見かけることも少なくなりマニアックな存在になりつつある。米国のアルミ調理メーカーであるミロのパーコレーターは、軽量で使いやすいのが特徴だ。
アルミのフィルターを内蔵しサイフォンの原理でコーヒーを入れることができ、水とコーヒー豆を入れて火にかけるだけの簡単さも大きな魅力。カヌーやボートで釣りをするときに重宝する逸品。この’80年代に手に入れた商品には、ミロ社の刻印が押されておりビンテージ感も抜群だ。
製造年月の刻印入りがポイント! 家族に贈りたいバースデーランタン
【ビンテージなキャンプギア04/コールマン286Aワンマントルランタン】
コールマンのホワイトガソリンを使用する定番のランタン。同社のガソリンランタンには製造年月が刻印され、バースデーランタンとして入手する人も多い。最近のLEDランタンは携帯性に優れ、明るく便利なのだが、マントルが燃焼しながら発する明かりは何ものにも代え難い優しさがある。
このランタンは1999年3月に製造されたもので、息子のバースデーランタンとして購入した。父親が使い、息子がキャンプを始めるときに引き継ごうと考えていたのだが、外遊びに興味がないようで、いまだに父親が使い続けているという曰くを持つ(涙)。
ソロキャンやアクティビティでフル稼働の活躍!
【ビンテージなキャンプギア番外編/ヤマハ セロー225(マルチパーパスバイク)】
すでに30年近く経った元祖トレイルバイクのセロー225。ソロキャンプやバス釣りの相棒として活躍中。4サイクルの単気筒エンジンはローパワー(20ps)でパンチ力はないが、扱いやすく低いシート高は足着き性にも優れて乗りやすさにも定評がある。
シンプルな構造を持つモデルだけに整備も簡単。ただし、最近は純正パーツの供給が終わってしまったものもあり、そろそろ修理に苦労しそうな予感が漂っている。排気量が223ccなので高速道路に乗ることもでき、車検も不要なので長期の維持も経済的である。
【まとめ】ビンテージの本質を頼むには「育てる」ことに限る
そのほかにもシングルバーナーやツーバーナー、ホールディングチェア、カヌー、釣り道具など、使い続けているうちにビンテージになってしまったアウトドア用品は数多い。「育てる」というよりも時間とともに「育ってしまった」というのが正しい表現かもしれないが、数十年を経た今も現役として使い続けることのできる相棒たちは、「定番」と呼ばれるものばかりである。
申し訳のない話だが、大流行中の某軽量ファイヤーピットやデザイン優先のチェアが数十年後に一軍として活躍しているとは思えない。流行を主軸に持ち、耐久消費財として「時代を楽しみたい」人には最適なのだろうが、「10年後も使える」という基準を持つ貧乏性なボクの選択肢に入ることはない。また、ビンテージへの憧れは理解でき、共感をする場面も多いが、ビンテージをお金で買うのではなく「人生と共に育てる」という遊び方もアウトドアの大きな魅力であることを忘れないでほしい。