バブル期真っ只中にも関わらず環境&経済性にもこだわる
この2代目シティは、当時のコンパクトカー(エントリーカー)としては珍しく、高性能と人間の感性の領域を高次元で融合させる「ヒューマンフィッティングテクノロジー」を採用。これによりシート設計では着座フィーリングを向上させるほか、軽量化と快適な乗り心地を実現することで最適なドライビングポジションが取れるつくりとなっていた。
現在のような電子デバイスがない時代に、クルマからの情報を運転者に適切に伝えるような直感性や広い視界、低重心の優れたハンドリングがある種、安全性に寄与していたとも言える。
振り返ると初代シティから燃費への追及は行われていて、あらためて振り返るとハンドリングも魅力的かつ、エコロジー&エコノミーを念頭に開発されていた。
初代ほど話題にはならなかったかもしれないが、コマーシャルには都会派ロック・バンド(?)のトーキング・ヘッズの楽曲を用いている。登場するキャラクターは男性ふたりと女性ひとりで、「男女の区別なく、豊かな才能を感じさせる新しい世代の代表」をアピールするなど、若者世代に訴求していた。
クリオ店専売が販売につながらず!? 1993年に国内では絶版に
こうした意欲作であったが、初代はプリモ店とクリオ店での併売からクリオ店専売としたことと、あまりに初代との見た目の印象の違いが大きかったのか、バブル期の日本では初代ほどのヒットとはならず。
1988年10月にはマイナーチェンジが行われて1.3LのD13C型エンジンを搭載。電子制御燃料噴射のPGM-FI仕様が追加されるなど、商品力を向上した。1989年から1993年の間に6回の特別仕様車が設定されたが、大きなテコ入れとはならず。余談ながらモデル末期にはFitという意味深なグレードも登場したが、ホンダの公式によると1993年に販売を終了している。
面白いのは、2代目シティはモータースポーツの世界ではほかにいない、唯一無二であったことだ。とにかく軽量ボディにパワフルなエンジンで低重心。モータースポーツの世界ではありがたい性能が備わっており、販売終了後も長年にわたってミニサーキットやジムカーナで活躍を続けていた。また、2代目シティはライバル不在で、後継のロゴではなしえない走りが魅力。
本来であれば、ガラスルーフで重くなるサンルーフモデルは嫌われるはずなのに、シティのサンルーフ付きはAピラーに補強が入っていることからサンルーフ付きが逆に好まれた。モータースポーツでは現在でも2代目シティ愛好派は一定数存在する。
つまり新型コンパクトのロゴが誕生してもシティが愛好されたのだ。なんともホンダらしいモデルで、それが2代目シティの愛すべき特徴だったと言える。ちなみにシティの名称は現在もアジアの国々などでは使われており、現在もシティというホンダ車はアジア圏を中心にいまも販売され続けているのだ。
■ホンダ・シティGG(GA1)
〇全長×全幅×全高:3560mm×1620mm×1335mm
〇ホイールベース:2400mm
〇トレッド 前/後:1400mm/1410mm
〇車両重量:700kg(ATモデルは720kg)
〇乗車定員:5名
〇最小回転半径:4.6m
〇室内長×室内幅×室内高:1675mm×1315mm×1105mm
〇エンジン:D12A型SOHC直列4気筒16バルブ
〇総排気量:1237cc
〇最高出力:76ps/6500rpm
〇最大トルク:10.0kg-m/4000rpm
〇トランスミッション:5速MT
〇サスペンション 前/後:ストラット式/ 3リンク式(車軸式)
〇ブレーキ 前/後:ディスク/LTドラム
〇タイヤサイズ 前後:165/70SR12(前後175/60R13仕様もあり)