プラットフォームを共用しつつクルマはまったく別物に仕立てたモデル
兄弟車はもともとアメリカで広く行われていた“手法”で、同じボディ(今でいうプラットフォーム)を使い、ディビジョンごと別々の車種に仕立てられたクルマのことをそう言った。超有名なところでは、GMのスペシャルティカー、シボレー・カマロとポンティアック・ファイアーバードなどがそうだ。
または最近では、トヨタGR86とSUBARU BRZのように、異なるメーカー同士の協業により生まれたクルマも兄弟車と見做すことができる。この場合は共用の度合いはいろいろで、プラットフォームを共用しつつクルマはまったく別物に仕立てた例としては、一時期のホンダとローバーなどがある。ほかにバッジエンジニアリング、OEMも一種の兄弟車と見做せる。
トヨタ・パブリカ/ダイハツ・コンソルテ
日本車でも古くから兄弟車があった。筆者がまだアマチュアのカーマニア(!?)だった小学生時代に最初に認識した兄弟車は、トヨタ・パブリカとダイハツ・コンソルテだった。トヨタとダイハツの提携があったのは1967年のことで、その成果として最初に登場したのが両車だ。2代目パブリカの登場とともに、ダイハツから、コンパーノの後継車として初代コンソルテ(ベルリーナ)が登場。
さらに1973年になると初代スターレットに当たるパブリカ・スターレットが登場し、ほぼ同時にダイハツからは、コンソルテに追加する形で2ドアのクーペが登場。追って4ドアも加えられ、このときにスターレットの車名からはパブリカの名が外されている。
写真のカタログはそのころのものだが、ダイハツのカタログでは、旧型であるはずのモデルが2ドアとして残され、スターレットのダイハツ版であるクーペと1冊のカタログにまとめられているところが興味深い。
トヨタ・カローラ/スプリンター
カローラ/スプリンターも有名な兄弟車だが、スプリンターの名は初代カローラ時代に登場したクーペのカローラ・スプリンターに始まる。兄弟車として独立した車名となったのは、カローラが2代目の20系にフルモデルチェンジしたタイミング(1970年)から。あの初代カローラ・レビン/スプリンター・トレノの登場はこの世代だ。
日産シルビア/ガゼール
日産車の兄弟車というと、旧プリンスと日産の合併により兄弟車となったセドリック&グロリアがあるほか、1980年に登場した初代レパードは、販売店違いのTR-Xがあった。ほかにもバイオレット/オースター/スタンザの3兄弟、パルサー系などの兄弟車もあるが、これらはいずれまた機会があったときにあらためて振り返ってみたい。
今回は日産車の兄弟車としては、S110型から始まりS12へと2代続いたシルビア/ガゼールを取り上げておこう。写真のカタログは1979年3月の登場時のものと、同年8月にハッチバックが加わったときのもの。
基本的に両車はフロントグリルのパターンや、前後灯体周囲のクロームの縁取りやリヤガーニッシュの有無、あとはガゼールに大胆なボンネットデカールが用意されるなどの差があった程度で、基本的にほぼ共通。インテリアもステアリングホイールのデザインが違うものになっているくらいだった。追ってターボ(1981年)や、ハードトップにあのFJ20E型DOHCエンジン搭載のRSが設定されたが、いずれも、シルビア、ガゼールのどちらにも用意された。