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20年所有して修理代はいくら掛かった? オーナーが語る「初代ロードスター」維持費のリアル

初代ロードスター(維持費)

旧車の領域に足を踏み入れた初代ロードスターの維持費用は!?

 筆者が愛用している1990年式ユーノス・ロードスターのVスペシャル(NA6型、以下ロードスター)は、緑色のボディに、ナルディ製ステアリングやシフトノブ、タン色の内装があしらわれた仕様です。発売当時、人気のモデルであり初代ロードスターをイメージしたときに思い浮かべるのではないでしょうか。

 この年式のクルマは車種によっては純正部品が廃盤になるなど、維持していくのに苦労することがあります。これまでどれくらいの費用がかかったのかを把握するために大雑把ではありますが、維持費をテーマに振り返ってみたいと思います。

新車からの10年間は気にするほど出費はかからず

 まず新車からの10年は大して費用はかかりません。もちろんタイヤは別にして、エンジンやトランスミッション、ディファレンシャルなどのオイルやクーラントといった消耗品を車検ごとに交換していれば、特段維持費が余計にかかることはないでしょう。問題は10年10万kmを過ぎたあたりからです。 まずエンジンの水まわり、ウォーターポンプやベルト交換にお金がかかります。ざっくり、通常の車検費用プラス10万円ほどを見ておくべきです。

 ちなみに8万km程度走ったころ、お世話になっているディーラーメカニックから「そんなに距離は走っていないからあと何年乗るのかわからないのであれば、不具合が出てからリビルト品に交換する方法もあるので、10万kmまでは換えなくても良いと思います」と言われ、結局10万kmを目前にしたときに諸々交換しました。

ローコストで装着パーツの自由度があるセミシールド式がオススメ

 ヘッドライトは丸形のシールドビームと呼ばれるユニット交換式(発光バルブとヘッドライトが一体化したモノ)が標準装備でしたが、セミシールド型に交換しました。価格は左右で1万円以下とリーズナブルで、これなら好きなヘッドライトバルブが選べるようになります。また、ロードスターは振動が多いからなのかバルブが切れやすい傾向があります。すぐにダメになってもいい安価なバルブに交換できるセミシールド型に交換したことは正解でした。 交換はDIYで簡単にできるので非常に助かるのですが、昨今のLED全盛の時代にH4バルブがいつまで販売されるのかという心配は尽きません。かつて日本でも多くのメーカーが同様のシールドビームを採用していましたが、現在は珍しい存在です。セミシールド型のヘッドライトならネット通販でリーズナブルに手に入るので、通販サイトなどを除いてみてはいかがでしょうか!

ネットショッピングを活用して維持費を節約すべし!

 初代ロードスターは、DIYできるスキルがあればが特殊工具を必要とすることはなく、その点でも維持費を安価に抑えることができます。 

 それは点火系も同様で、プラグコードやスパークプラグもカー用品店で購入することで費用を抑えることができます。ちなみによく通っていた自動車部品量販店で専用プラグコードのセール品を見つけ、コードを購入するから点火プラグを安くしてほしいと価格交渉、リーズナブルに購入することができました。もちろんプラグも自分で交換すれば工賃を抑えることができます。 人気車種とはいえ、現在は専用部品を店頭在庫しているショップは少ないでしょう。取り寄せ品の値引きはなかなか期待できませんが、ネット社会の現在、ウェブ通販をうまく活用して、DIYメンテナンスすれば古くなったクルマでも無駄な出費を減らすことができます。いま現在、初代のNA型や2代目のNB型の購入を考えている方は、そんな心構えがあれば維持費を安くできると思います。

オーディオの故障は予想外の出費、幌交換と合わせて大枚が飛び立つ……

 ここまで読んだ方には少し期待を持たせるような話しでしたが、じつはここからが本題です。旧車の維持は錆との戦いと聞きますが、オープンエアモデルではボディに限らず幌もネックになります。ガレージ保管できればまだ良いのですが、青空駐車だとリヤのアクリルウインドウが劣化してしまい、いずれ幌交換が必要になります。

 この際に悩ましいのが、初代NA型のアクリル製ウインドウの幌を使うか、当時定番だったNB型(2代目)のガラス仕様の幌に交換するか? が分かれ目となります。筆者の場合は、かなり前にNB型フレームと幌に交換しました。ここで一気に30万円が飛んでいきました。 そして幌交換したほぼ同時期にオーディオ(カセットテープ+CD)のラジオが故障してしまい、カセットテープが使えるのはこのロードスターだけだったので、なんとかカセットテープの音源を使えるようにしたいと思い、カー用品店をいくつも巡りました。

 ただしMDからCD全盛のころに、ラジオ+カセットテープのユニットを見つけることができず、大枚をはたいてHDD式カーナビゲーションを購入。これで便利にはなったのですが、初代ロードスターの初期モデルは車速信号が取れないことから、優秀なカーナビでないと使えないことがのちに判明します。 当初はカー用品店が薦めるモデルを装着したのですが、まったくもってナビが機能してくれないので、数日でさらに高価なモデルに交換。さすがに交換工賃をカー用品店が負担してくださったので助かりましたが、ナビ本体と工賃込みで20万円の出費。このナビも数年前から反応しなくなったため、現在はメモリー式のカーナビを装着しています。ちなみに、その時も本体+工賃込みでも8万円ぐらいかかりました。

 そして走行距離が10万kmを超えてくると消耗品にガタがきます。まず左右のウインドウレギュレーターがダメになり、頻繁に使う運転席側を交換するのであれば左右同時にということで、ここでも交換に10万円近くかかりました。

国産車でも20年を超えてくると一気に出費がかさむことも

 クルマの維持費といえば輸入車が高いイメージですが、日本車でも長く保有しようとすると結構な金額が必要になります。10万kmを超えて新車から20年を超えてくると、今度はブレーキ関連やクラッチなどのオーバーホールや交換が必須です。

 以前、車検費用を支払ってから入庫後にサービス担当者から「あと50万円ください」といわれたこともありました。車検を通すにはブレーキ関連のオーバーホールが必要とのことで「まぁ仕方がない」と……。

 そうなると信頼して任せしているのだから「お任せしますのでできるだけ安く、うまくやってください!」とお願いするしかありません。多少の値引きもあったので、担当者がいうほどの価格とはなりませんでしたが、おそらく多くの方が「車検でこんなにお金がかかるの……」という金額にはなりました。

 それ以外でも、ちょくちょくお金がかかります。例えば直近の点検では「一流メーカーのエンジンオイルが格安キャンペーンをやっている」というので上質なオイルに交換。またシートベルトバックルの装着警告音(シートベルトが未装着だとブザーが鳴る機能)が不安定とのことで、それだけで約1万円追加です。

 教訓としては経年劣化にともないかかる費用はかさんでくるので、点検や車検では予算に余裕を持つことが重要かもしれません。ちなみに次回の点検時に「おそらくダンパー交換と走行距離を鑑みてエンジンのガスケット交換も考えておいてほしい」とすでに予告されています。

 次回までに金策をしなければなりませんが、長年付き合いのあるディーラーなので豊富な知識から次回の提案があるのは正直助かります。これについては近所に信頼できるショップがあるよ、という方でしたら社外品を含めて価格を抑えることができると思うので、情報は集めておくと良いと思います。

臨機応変にディーラーを活用することでも出費が抑えられる

 逆に、意外とディーラーでも助かるということもあります。1年ほど前ですがクルマのキー(当然物理の鍵ですが)の金属部分に小さな亀裂が入ってしまいましたが無事購入することになりました。もちろんユーノスのエンブレム付きの新品純正キーです。 またボンネットのマスコットが半分飛んでいってしまったので、ネットオークションなどで探したのですが意外と高い……。ダメ元でディーラーに問い合わせて値段を聞いたら、ネットオークションよりもリーズナブル。キー自体も1万円以下でしたし、マスコットも部品代だけなので値引きもあって6000円程度。中古車を購入したのでディーラーに行きにくいと思っている方もいるかと思いますが、ロードスターは復刻パーツも多々あるので、ディーラーを積極的に活用してみることをオススメします。 もちろん相談するだけならタダだなので、何か気になることがあったら一度ディーラーに行ってみるのも良いと思います。

マツダでは2017年から初代ロードスターのレストサービスを開始

 ロードスター乗りの方ならご存じだと思いますが、マツダは2017年12月にユーノス・ロードスターのレストアプランを発表して、現在も復刻パーツを販売しています。筆者も取材させていただきましたが、現オーナーとしては感動モノでした。残念ながら「10年前にやってくれれば!」と思う気持ちもありましたが、レストアプランは254万7000円〜ですので、決してリーズナブルとはいえません。 ただ高価には違いないですが、ほぼ新車の状態に戻ることを考えるとすでに多くのオーナーさんたちから、救済を求める声が多数届いているそうです。筆者のロードスターは、クルマの維持費だけで200万円を超えるようなことはありませんが、それでも新車時から20年以上の年月で100万円以上の出費がありました。それを考えると15年前に“レストア代金150万円をローンで!”なんてプランがあったら飛びついていたかもしれません。

フルレストアにも憧れますが経年したモノ同士付き合うのもアリです!

 先日ディーラーで聞いた話ですが、30万km以上走ったオーナーさんがエンジンの乗せ換えを含めた車検で100万円以上支払ったケースがあったそうです。経年した愛車がレストアプランで蘇るのはうれしい限りですが、考え方次第では長年連れ添った相棒と一緒に少しずつ年老いていくのも楽しいものです。長きにわたり時間をともにした思い出がある一方で、クルマだけが急に新車のように戻っても困惑してしまうと考える方もいるでしょう。

 もちろんレストアプランは素晴らしく多くのユーザーを喜ばせることは間違いないでしょう。日本の古き良き文化である「もったいない」や「大切に使う」ことを欧州ではできているのに、最近の日本では限られた車種でしか実現できない。その意味でロードスターでレストアプランを可能にしたマツダの姿勢は素晴らしく、ぜひ今後も続けていってほしい文化だと思います。

 ちなみに現在困っているのは幌です。先に述べましたが筆者の初期型NA6型ロードスターVスペシャルは、標準では黒色の幌が備わりアクリルのリヤウインドウでした。ですが筆者は途中でNB型のフレームにNB型のガラス幌に交換しています。もちろん、このスタイルが一番のお気に入りだからです。

 ですが、現在はNA型用の黒色アクリル窓か、NB型用ガラス窓熱線付きの幌(黒か濃紺のむ)しか在庫がないそうです(2021年11月29日現在)。筆者のロードスターは最初期のモデルなのでリヤがガラスでも熱線機能は使えませんので、この際NA型用のアクリル窓のタン色、もしくはNB型ガラスの熱線無しのタン色を再販してほしいと思ってます。オーディオ以外はすべてノーマル、この状態がいつまで維持できるのか? 直近の心配はそれに尽きます。

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