実証実験車でデモ走行! リアルワールドでの「実用性」は
今回は安全上の理由から、居眠りを想定した体験は停車状態の車内のデモ。そしてシステムが危険を察知した際の自動停車体験は、公道ではあるものの、システム強制作動スイッチを押してのデモンストレーションという形で行われた。そのため、MAZDA CO-PILOT 2.0が異常を検知した際の一連の流れをすべて自然に体験できた訳ではないが、「すごい」というのが正直な感想だ。 走行中にシステムが作動すると、まずは前述した流れでの警告が発報。それでもドライバーからの反応がないと、ゆっくりと減速をしながら、道路状況に合わせて車線を変更。路肩などの安全に停車できるポイントへ移動しクルマを自動で停車させてくれるというのが支援の流れとなっている。そして、停車と同時に警察などへの緊急通報が行われるとのことである。
デモ走行でも、その一連の流れを体験することができ、緊急時にはかなり心強いシステムであることを体感することができた。例えば、追い超し車線を走行中にシステムの強制作動スイッチを押した際に、走行車線を別のクルマが走っていると、キチンとそれを検知し、車線を維持したまま走り続けてくれる。また、安全に停車するポイントも様々で、側道など、大通りの路肩に停車するよりも安全な場所がある場合は、そこに向かって左折までしてくれるなど、驚きの性能だ。 一方で、その安全に停車できるポイントとして設定された場所へ向かう途中に、赤信号や横断歩道を横断中の歩行者に引っかかると、その場所で停車してしまう。果たして、これは本当に安全なのだろうか。疑問が残るところである。この疑問についてマツダの見解は、安全なポイントへ向かう途中で停車してしまうことは、居眠りや運転が不能なほどの体調不良などの状態で、クルマが動き続けるよりは、途中であっても停車させることが安全であるという判断とのこと。緊急を示す独自のパターンでのハザード点滅や、クラクションの連発など、周囲にも危険な状態のクルマであることは周知させていると説明している。
もちろん、そのまま動き続けるよりは、停車させることの方が安全であることは明確だ。しかし、誰もが停車する信号待ちや、歩行者が横断中の横断歩道手前などで、前方の車がそのまま停車してしまうと、後方のクルマは当然その要因が解決すれば動き出すことを想定しているため、うっかり追突してしまうという危険もあるのではないだろうか。
その点に関しては、この素晴らしいシステムの認知度をどのように広めていけるかが重要な鍵となるのかもしれない。
なお、2025年に登場予定のMAZDA CO-PILOT 2.0搭載車にも、強制的に同運転支援システムを起動できるスイッチが搭載される予定で、ドライバーだけでなく助手席などの同乗者がドライバーの異変を察知した際に、システムを強制起動できるようになっている点も新しいポイントとなっている。
試作車の段階だが期待大!
というように、現段階では多少の疑問が湧いてくるシステムであることは事実だが、今回体験したのは、まだまだ試作品。ドライバーの不調を事前にクルマが予知して、自動で安全に停車するという技術がさらに進化して広まれば、事故が減ること確実である。クルマは生活に欠かせない足であるだけでなく、職種などによっては多少無理をしてでも運転をしなければならないという状況が避けられない人もいるだろう。 そんな現状を少しでも改善してくれるのが、マツダの提唱する安全技術へのコンセプト、「いつもそばで見守ってくれる、頼れるあなたの理解者」に進化したクルマの登場なのではなだろうか。