クラウンとの差別化を図ったマジェスタ
1991年、9代目クラウンと同時に発表されたのがクラウン・マジェスタ(以下マジェスタ)だ。先代に設定されたV8モデルの後継という存在でデビューしており、セルシオとクラウンの間に収まる新しい高級車として登場した。
それはボディサイズからも明らかで、クラウン・ロイヤルサルーンが全長4800×全幅1750×全高1440(コイルばね)mmだったことに対して、マジェスタは4900×1800×1420mmの堂々たるサイズ。
一見するとクラウンと差別化は少ないが、クラウンが伝統的なペリメーター・フレームを踏襲するのに対して、マジェスタはモノコックボディを採用。クラウンはいずれモノコックボディを採用するのだろうという、時代の流れ、変革期を予測させる存在だった。
サスペンションもクラウンが前輪ダブルウィッシュボーン式、後輪が伝統のセミ・トレーリングアーム式を用いることに対して、マジェスタは前後輪ともダブルウィッシュボーン式として差別化。さらに走行条件に合わせてバネ定数や減衰力、車高を調整する電子制御エアサスペンションを採用したことで、快適性を一段と向上。ただのクラウンではないのだよ! と、幅広いユーザーの確保につながるのである。
日本の社用車の文化を支えたマジェスタ
これは昭和の考え方かもしれないが、社長や役員がクラウンなら部長はマークII、それ以外はもっと小さな(排気量も含む)クルマに乗らなければならなかったが、社長やそれに近しい役員がセルシオ、役員や部長がマジェスタやアリスト、マークIIやチェイサー&クレスタには課長でも乗れる、となる。
欧州ではカンパニーカーとして一部会社員に通勤用のクルマが貸与されることがあるのだが、これを上下関係に非常に厳しい日本の社用車と考えてみると、社長がセルシオで役員がクラウンだったのが、マジェスタが追加されたことでより細分化。多くの役員がマジェスタで移動できるようになったといえる。
時代は平成でも生き残る昭和の文化。そこにマジェスタはピッタリとはまり、日本の社用車の文化を支えることとなるのである。