イギリスのヒストリックカーの祭典「グッドウッド・リバイバル」を日本でも!
モータースポーツ大国イギリスにおいて、かつてのモーターレースの魅力を再現した「グッドウッド・リバイバル(GOODWOOD Revival)」といえば、「F1イギリスグランプリ」をも凌ぐ集客を誇っている人気のヒストックカーレースだ。
参加者だけでなく、観客もがヴィンテージ・ファッションに身を包み、モーターレースの黄金期を再現する週末は、世界中のヒストリックカーレース愛好家から憧れのイベントとなっている。
旧いクルマやバイクを好きな人たちが思いきり楽しむ手づくりイベント
そうした本場のシーンさながらに行われているのが、日本で春と秋の年2回開催されている「フェスティバル・オブ・サイドウェイ・トロフィー(Festival of Sideway Trophy)」だ。
主催するのは、東京都世田谷区用賀にある英国車専門店「パルクフェルメ」。代表の金子 温さんが英国のシーンに感銘を受けて、わが国でも同様に楽しみたいと、約20年前にほかの団体のサーキットイベントで1枠を借りてスタートしたのだった。
10年前に、千葉県にあるサーキット「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」を舞台に開催されたワンデイイベント「フェスティバル・オブ・サイドウェイ・トロフィー」となってからは、「グッドウッド」同様に、モーターサイクルのレースも行われている。
走るオーガナイザー金子氏のモットーは、思いきり楽しむこと。長年の相棒である「オースティン・ヒーレー3000」に加え、昨年より「ノートン・マンクス」で2輪クラスへもエントリーし、誰よりもこのフェスティバルを楽しんでいる。
クラシカルなファッションのグリッドレディたちにも注目
当日、ゲートに一歩足を踏み入れると、そこは普段のサーキットとは明らかに違う空間が広がる。
入場ゲートから、ピット割りの車名を書いたボードなどの演出が雰囲気を盛り立てる。そして、モーターレーシング黄金期のファッションに身を包んでいるのは、エントラントだけでなく観客も同様。この日、誰もが主役となれるのが「フェスティバル・オブ・サイドウェイ・トロフィー」なのだ。
また、この日、見逃せない存在なのがサーキットを彩るグリッドレディたち。クラシカルなスタイルからモダンスタイルまで、当時のファッションでサポート。暫定表彰式ではハグの大サービス。
国籍豊かなヒストリックカー、モーターサイクル、そしてサイドカーも!
かつては戦前車やフォーミュラカーのカテゴリーもあったが、現在は1950年代から1960年代までのスポーツカーでの「エバーグリーン・カップ」、サルーンカーによる「ティントップ・カップ」、ふたつのクラス混走の「セブリング40Mトロフィー」という耐久レース、それに「RACメモリアル・ラン」という走行会が行われる。
また2輪車は排気量と年式で分けられた3クラスの走行会で、それぞれの愛車とペースでサーキットランを楽しめる。
そして、3輪車の「ニーラー」と呼ばれるサイドカーも走る。230ccを上限としたエンジンを搭載し、フレームは市販品を使ったサイドカーだ。カウルは自作のマシンが多く、回を重ねるごとに、参加台数も増えてきている。
ふたりの息を合わせなければ曲がることができないニーラー、地面スレスレまで重心を落としてのコーナリングは迫力満点だ。
往年の本物のレースカーも参加!
ところで「サイドウェイ・トロフィー」には、大事なレギュレーションがある。4輪車のレースレギュレーションでは、ラジアルタイヤになる前のバイアスタイヤ「ダンロップCR65」というレーシングタイヤをコントロールタイヤとしているのだ。
また参加マシンにも、スポンサーのステッカーやフロントスクリーンへのショップバナーを禁止し、当時の雰囲気を重視したカラーリングでの参加を推奨している。そうした趣旨を理解しているエントラントたちも紳士協定的に、現代のパーツを投入して過度な改造を施したマシンがいないのも、このイベントの特徴だ。
そうしたことも理由となり、当時の本物のレーシングカーも参加している。ゼッケン44は、1967年製「オースティン・ヒーレーTFR5」で、イタリアの公道レース「タルガ・フローリオ」のために作られたワークスカーだ。オーナーの田中さんは、スプリントレース「エバーグリーン・カップ」と耐久レース「セブリング40Mトロフィー」にエントリー。
愛知県岡崎市の英国車スペシャリスト「フライングスコット」は、女性ドライバーとして初めて英国選手権を制覇したアリソン・デイヴィスが駆った「ジネッタG15」を持ち込み、「エバーグリーン・カップ」と走行会の「RACメモリアル・ラン」に出走した。