大切な愛機と末永く付き合うためのメンテナンスポイント
GC型/GF型インプレッサWRXの生産終了から20年以上が経過し、各個体の走行距離は当然伸びてきており、トラブルが多発してもおかしくない状態。そんなGC/GF型と長く付き合うポイントを、スバル車の名医「ガレージKM1」緒方代表に聞いてみた。
初出:スバルマガジンvol.37(※一部加筆修正)
クルマの使用歴によって各部の状態は異なる
GC型(セダン、クーペ)/GF型(スポーツワゴン)をラインアップする初代インプレッサのなかでも、WRX系はスバルが本気でWRCを戦うために開発されたモデルだ。当初240psだったエンジンの最高出力は、最終的に280psまで引き上げられ、その特性からエンジンや足まわりをチューニングして、ハードに扱われてきたクルマが多い。
ただし頻繁にサーキット走行を行ってきたクルマであっても、各部のメンテナンスがしっかりと行き届いていれば、トラブルも少なく快適に乗り続けることが可能だ。
オーバーホールでリフレッシュすることも考えたい
逆に走行距離が少なく大切に乗られていても、経年劣化した部品が交換されていなければ、これからトラブルが多発することになる。いずれにせよ古いモデルだけに、「オイルと水さえ管理すれば快適に乗れる」というクルマではなくなってくる。
このGC型/GF型と長く付き合うには、これから出てくるトラブルに応じて各部に手を加えていく必要がある。またトラブルなく走っていても走行距離が嵩んでくれば、エンジン内部が疲労しておのずとパワーダウンしてくる。本来の性能を取り戻すのなら、コストは高くつくがオーバーホールするという手もアリだ。
スバル車専門ショップのガレージKM1にはGC型/GF型ユーザーが数多く訪れており、メンテナンスノウハウは豊富。トラブルに素早く対応してフラット4ならではの心地良いエキゾーストノートを轟かせている。
初代インプレッサWRX系の定番トラブルポイントをチェック!
【チェックポイント01/エンジンまわり】
ロッカーカバーからのオイル漏れ
オイル漏れがもっとも多い箇所がロッカーカバーだ。下にエキマニがあるため、焦げたオイルの臭いでオイル漏れに気づくことが多い場所でもある。修理の際、液体パッキンを付けすぎるとストレーナーが詰まる原因になるので注意が必要だ。
ラジエーターサイドタンクからの水漏れ
ラジエーターからの水漏れはコア部やホース部よりもサンドタンク側からが多い。修理はリビルト品を使うのが一般的で、通信販売で格安ラジエーターが出回っているが、モノによっては耐久性に問題があるのでガレージKM1ではリビルト品を推奨している。
ISCバルブは触らないこと!
アプライドA~E型のインテークマニホールドにはISCバルブがセットされており、内部が汚れるとアイドリングが不安定になってエンジンがストールしてしまう。このISCバルブを洗浄すればよいのだが、取り外してバラすと元に戻せなくなるので、DIYでISCバルブに触れるのはNG。プロショップに整備してもらうのがベターだ。
エンジンの状態に応じたオーバーホールメニューとは
走行距離が伸びて、エンジンオイルの消費量が激しいのならオーバーホールを考えたほうがいいかもしれない。また各気筒のコンプレッションのバラツキもオーバーホールの目安。
ガレージKM1では、エンジンの状態や予算に応じてピストンリングのみを交換するセミオーバーホールから、ヘッドや腰下まで手を加えるフルオーバーホールのメニューも用意している(価格はセミオーバーホールで50万円~)。エンジンのブロックはアプライドA~C型がクローズドデッキ、D~Gがオープンデッキ、2代目モデルのGDB型がセミクローズドデッキを採用している。腰下の状態が悪いのなら耐久性を高めたGDBのブロックを使ってオーバーホールするのもアリだ。
【チェックポイント02/ステアリング・トランスミッション・駆動系】
パワステ系統からのオイル漏れ
ポンプやギヤボックス、ホースなどパワステ系統からのオイル漏れ箇所は多い。フルードを交換せずに乗っているオーナーも多いが、2年に一度の交換がベスト。またATFの流用ではなくパワステ専用フルードを推奨している。
シフトチェンジがスムースにできない
トランスミッションのシフトの入りが悪い原因はクラッチの切れ不良やオペレーティングシリンダーからのオイル漏れなどがあり、まずはクラッチ系統をチェックすること。MT本体がトラブったなら6速MTへのスワップもアリだ。
ドライブシャフトブーツの破損
GC型/GF型に限らず、ドライブシャフトブーツの破損は各車のトラブルポイント。ブーツが破れてグリス切れが起こると異音が出てくる。GC/GFの場合、触媒の熱によってフロントの右内側が破損することが多い。
リヤデフケースからのオイル漏れ
リヤデフの近くにマフラーが通っていることから、その熱の影響でデフケースのシールからオイルが漏れることが多い。またドレンボルトの締めすぎでケースが割れて、そこから漏れることもあるので要注意だ。
【チェックポイント03/ボディ関連】
スポット溶接の剥がれ
ボディの各部にはスポット溶接が施されているが、ハードに走ると剥がれてくる。GC型/GF型で多いのが、フロントまわりではなくリヤシートの後ろ側。そのまま乗っていると悪化してくるので修理およびスポット増しを行いたい。
トランクルームへの水漏れ
トランクルームが水漏れする原因はウェザーストリップやテールランプのシーリングの劣化。ボディには数カ所の水抜き穴が設けられており、水漏れによりボディ内部に水が浸入しているなら穴から水を抜いてやることが大切だ。
ガレージKM1ではGC型/GF型のユーズドカーも販売中
ガレージKM1ではチューニングやメンテナンス以外に、ユーズドカーの販売も行っている。GC型/GF型はすでに多数が海外に輸出されたことからタマ数は少ない。したがって「アプライドD型のSTIバージョンが欲しい」と言っても対応できないのが現状。市場に出回っているクルマを探すしかない。
WRX系なら価格は最低でも80万円あたりからで、なかでもブルー系のボディカラーは割高だ。時折、走行距離の少ない極上車が出回ることもあるが価格が高いだけでオススメできない。走行距離が多いチューニングカーでも、各部のメンテナンスが行き届いたクルマを推奨している。
【水平対向エンジンの弱点が分かる! エンジンオイルのお話動画はコチラから】↓↓↓↓
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