ホイールキャップの意外なメリット
以前に比べればアルミホイールの装着率は上がっているものの、スチールホイール、いわゆる鉄チンにホイールキャップを付けているグレードも健在だ。また、最近ではアルミホイールとキャップを組み合わせて凹部分を埋めて、空力をよくする例もあったりする。
素材としては柔軟性に富むABS樹脂が使われることが多く、デザインもできるだけアルミホイールのように見せる努力が垣間見えるものも多い。ホイールキャップとわかってしまうというのはスポークとナットの穴がないのが問題で、ダミーながら付いているように見せるキャップもあるほどだ。ただ、ホイール表面だけでの工夫なので限界はあるが。
一方、その昔は金属製の円盤で、思えばかなり贅沢な作りだった。センターにはロゴが入り、デザインも細かなフィンが施されていたり、メッキがかけられていたり。カバーする部分も今のようにホイール全体だけでなく真ん中部分だけもあって、この点でもスチールホイールのデザインをうまく活かしていたと言っていいだろう。
ホイールキャップ脱落注意
しかし、昔のホイールキャップはよく路肩などに落ちていたものだ。理由はやはり嵌合方法がそもそも甘かったし、脱着を繰り返すうちに甘くなってなおさら外れやすくなっていたから。作りがいいということは高価でもあるだけに、落ちたのを探しに行ったり、落ちた瞬間音がすれば気が付くので、路肩に止めて転がるのを追っかけたなんていうこともあった。
現在ははめ込みの方法が以前とは違っていて、ツメの部分を全周に渡って金属のリングで押さえるようにしていて、一部が浮き上がって外れてしまうというのは激減している。もしそれでも落ちるようなら寿命なので、新品に交換したほうがいい。また、海外にもホイールキャップ仕様はあって、常用速度域が高くて外れると危険だからか、ホイールボルトと一緒に共締めするタイプが主流だったりする。
交換とメンテナンスのメリット
新品への交換タイミングとしてはほかに、表面が荒れてきたらというのもあるだろう。見た目の問題なので交換しなくてもただみっともないだけだが、樹脂だけにヘタった感じも出てくるし、足もとが貧相だとクルマ全体も同じく貧相に見えてしまうもの。安いのもキャップのメリットのひとつだけに、交換してしまったほうがいいだろう。
普段からのお手入れはアルミホイールのように、あまりゴシゴシやらずにシャンプーを付けた布などで軽くこすってやる程度で十分で、塗装してあるので仕上げはボディ用のコーティング剤を塗っておけばいい。そもそもアルミホイールのようにブレーキ部分とダイレクトにほとんどつながっていないので、ひどく汚れることもないし、もし汚れがひどければ、外して簡単に洗えるのもキャップのメリットだ。
最後に、はめ方がわからないというか、張りがけっこうあってうまくはまらないとこちら側に飛び出て怖いという声をよく聞く。コツは全体を一度に一気にはめるのではなく、一カ所入れたらそこから少しずつ順に入れていくということ。また最初に空気を入れるバルブとくぼみを合わせておくといい。