「MOONEYES」の手で2年ぶりに開催された「横浜ホットロッドカスタムショー」
アメリカのモーターカルチャーを発信する「MOONEYES」が毎年12月に開催している「横浜ホットロッドカスタムショー」。2020年はコロナ禍でキャンセルとなったが、2021年12月5日(日)、パシフィコ横浜にて2年ぶりに開催された。
その名のとおり、アメ車やハーレーのイメージが強いイベントではあるが、じつは国産車の出展も多い。アメリカのカスタムカルチャーをバックグラウンドにした国産車カスタムの数々は、まさしく、イメージとアイデアの最先端の実験場なのだ!
アメリカン・モーターカルチャーの祭典、その懐はとても広い
アメ車に興味のない人でも、目玉がふたつ並んだ黄色いステッカー「アイボール」を一度は見たことがあるだろう。この「アイボール」をトレードマークにしている「MOONEYES(ムーンアイズ)は、1952年にアメリカ・カリフォルニアでディーン・ムーンという人物が創業したブランド。彼の死後、日本で「ムーン・オブ・ジャパン」として活動していた菅沼“Shige”繁博氏が、1990年にムーンアイズのすべてを受け継いで、アメリカと日本を拠点に活動してきた。クルマやバイクのパーツ、アクセサリーからグッズ、アパレルまで、今では「ムーンアイズ」ブランドは世界中に多くのファンをもっている。
1992年に第1回が開催された「横浜ホットロッドカスタムショー」は、国内最大級のインドア・カーショーとなっている。例年、海外から豪華なゲストも招待していたのだが、2年ぶりに開催された今回は、まだ世界的なコロナ禍ということで海外ゲストは無し。
とはいえ日本中のカスタムファンたちが2年間待った甲斐があり、エントリーしたショーカーの数々はじっくり作りこまれたハイクオリティなものばかりだった。
今年の4輪部門「ベスト・オブ・ショー」に輝いたのは、シルバーアクセサリーのブランド「FIRST ARROW’S」が出展した1929年式「フォード・モデルA」。本職を活かしてボディからパーツまで最上級の輝きを与えているだけでなく、ディテールにはシルバーのアクセサリーを奢って、まさに「ホットロッドカスタムショー」の王道を体現していた。
クルマの国籍はアメ車に限らず多彩。そのなかでも、クラシック・フォルクスワーゲンはドイツ車でありながらもアメリカン・カルチャーと密接な関係があるため、一大勢力となっている。
もちろん、日本のイベントということで、国産車のカスタム車両は膨大な数がディスプレイされていた。ここからは、国産車でとくに印象的だったクルマを紹介していこう。
かわいい日産パオを「チョップド」&「顔面整形」&「完全着地」&「隼エンジン」、もはや数え役満!
大阪のカスタム界の若手たちが結成したユニット「ninine works(ニナインワークス)」が持ちこんだこの車両、原型をほとんど留めていないのだが、ベース車両は「日産パオ」。
屋根をばっさりカットして「チョップトップ」にし、フロントマスクもまるっとイメチェン。18インチホイールを履かせてエアサスで完全着地するために、ボディ側に大規模な手術をするだけでなく、後席を取りはらってリヤに自作のフレームをインストールしている。
さらにそのフレームには、大型バイク「隼(ハヤブサ)」の1.3Lエンジンをマウントして、ミッドシップレイアウトにしてしまおうというのだから恐れ入る。
今回はボディをマットグレーとし、ルーフはシルバーにシルバーフレークを散りばめて光らせていたが、まだまだ現時点では「カタチができた」状態で、これからさらに進化させていくとのこと。なお、ナンバーを取得する予定はないそうだ。
彼ら「ニナインワークス」のチョップド・パオ・プロジェクトはYouTubeで見ることができるので、興味のある方はそちらでじっくりご覧いただきたい。
カリフォルニアの風を感じさせるクラウンバン
こちらの「トヨタ・クラウンバン」は1990年式で、小田原のカスタムショップ「AMC」の岸さんが購入した個体を、VWカスタムで有名な「K-LINE」勝木さんがほぼ1カ月で作り上げたという1台。
ワンオフのグリルは違和感ゼロで、さわやかなブルーを基調にしたペイントワークはボディを立体的に演出。フロントの車高を落としてクラウンバンのシルエットをより鋭角的に見せていて、足元は「ドラッグレース」のシーンでおなじみの「アメリカンレーシング」ホイールと「フージャー」タイヤの組み合わせだ。
カリフォルニアのカスタムシーンの文脈を国産車に適用し、さらに新しいイメージが生み出されていくのは、まさしく「ホットロッドカスタムショー」の醍醐味なのだ。