ステルス戦闘機のようなスタイルが特徴的なWill VS
一方で2001年4月に登場したWiLLシリーズの第2弾、WiLL VSは、第1弾のWiLL Viとは打って変わって戦闘的な雰囲気のクルマとして登場。とくにステルス戦闘機のような(そういうコンセプトだったようだ)先鋭的なスタイルは注目だった。
分類上は4ドアのハッチバックだったが、ボディの中央には前から後ろにかけて折り目が通され、後方に向かって切れ上がったサイドウインドウも印象的だった。ダーク系を中心としたボディカラーも、ミステリアスなスタイリングを引き立てていた。
室内も近未来的にまとめられ、十字の基準線があしらわれたメーターのグラフィックや、逆L字型のシフトレバーなどは、さながら航空機のようなイメージ。このスロットルレバーを思わすシフトレバーは、何とアルミダイキャスト製の成形品だった。
センターコンソールの上面が水平ではなく斜めのために、たとえ一時的でも上にモノが置けない割り切りが凄い……とは、当時、実車に試乗した際に感じたことのひとつだった。片や後席はフルフラットに倒すことができ、シューティングブレークのような実用性を持っていた。
搭載エンジンは1.8Lで2機種の設定。高性能版にはVVTL-i(連続可変バルブタイミングアンドリフト機構)を備えた190ps/18.4kg-mという性能の2ZZ-GE型を搭載し、スポーツステアATシフトマチックも採用した。あらためて手元でカタログを見ていると、今でも通用しそうな、早過ぎたコンセプトのクルマだったのではないか? という気もする。WEB限定で100台の6速MT車も発売されている。
時代を先取りしたWiLL CYPHA
早過ぎたといえば、今の時代を先取りしたもう1台がWiLL CYPHA(サイファ)だ。登場はシリーズ最後発の2002年で、ベースはWiLL Viと同じNBCプラットフォーム。とはいえユニークだったのは、当時、トヨタが打ち出したオンラインサービスのG-BOOKを活用し、クルマからダイレクトに各種情報、コンテンツが利用できた点だ。今では当たり前になった機能だが、実験的だったとはいえ、いち早くそのスタイルを実現していたところがポイントだった。
ただしサイバーカプセルをコンセプトにしたデザインは、コンセプトカーさながらというか、かなり飛んだものだった。筆者も試乗経験はあるが、試乗車に乗り込み、運転しているところを人から見られると思うと、かなり勇気が必要だった覚えがある。
いずれにしろWiLL3車は、トヨタのバッジがつかないクルマだったからこその自由奔放なコンセプトを貫いたクルマばかりだった。今、もう1度作り直してもいいのではないか? とさえ思う。