フランスで開発・生産される軍用車だが今はスウェーデン資本
よく日本人は「R」の発音ができないといわれるが、フランス人の「H」の発音も相当な確率でなっていないという逆ツッコミは、あってしかるべきだろう。というわけで「Hummar français」は「‘ア’マー・フランセ」と発音されてしまうが、何のことはない、「フランスのハマー」という意味。正式名「ルノー・シェルパ(Renault Sherpa)」を指して用いられる、あだ名というワケだ。
「カングー」などの乗用車を手がける「ルノー」とは別会社
ルノーと名のってはいるが、造っているのは「アルクース(Arquus)」という軍用車専門メーカーで、その前身は「ルノー・トラック・デファンス(Renault Trucks Defense)」。つまり乗用車・商用車のルノーとは別会社で、母体だった「ルノー・トラック」ごと2001年にボルボ・グループに売却され、「パナール・デファンス」や「ACMAT」といったほかのフランス軍用車メーカーをも吸収合併して今に至る。
それでも数年前にボルボ・グループがルノー・トラック・デファンスの売却を画策し、独仏連合の戦車メーカーである「KNDS」が有力な買収元とウワサされた。だが、提示額が低すぎてボルボが売却をあきらめ、スウェーデン資本のままフランスで開発・生産される軍用車メーカーという、不思議な立ち位置となっている。アルクースと改名したのは3年前のことだ。
圧倒的な積載性能と汎用性が売りの「シェルパ・ライト」
2006年に「シェルパ2」、同3として発表された軽戦略車両モデルは現在、「シェルパ・ライト(Sherpa Light)」の名でラインアップされている。装甲や武装は軽めで、無しの仕様もあり、連絡や輸送で機動性を発揮するために開発された。
シェルパ・ライト最大の特徴は、なんといっても車軸の強靭さによる積載性能。装甲の度合いにもよるが2~4t以上は確保されており、とくに最新仕様の「シェルパ・ライト・スクート(Sherpa Light Scout)」では前車軸側の最大荷重3.5t、後車軸のそれは4.8tとなっている。さらに、オプションで前車軸側を4.7トンにまで強化することもできる。
当然、軍用輸送機の「エアバスA400Mアトラス」や「ロッキードC-130ハーキュリーズ」で輸送できるエア・トランスポータビリティ、そしてパラシュート投下対応を前提としている。