日本のナンバー付き車両最高峰レース! 新型GR86/BRZでスタート
アマチュアから有名なプロドライバーまでがしのぎを削る、2013年にスタートした86/BRZのワンメイクレース。地方ごとにシリーズが組まれていたヴィッツの上位カテゴリーで、全国を転戦するナンバー付き車両によるレースの最高峰だ。
多くのドラマが生まれ今年も大いに盛り上がったが、86/BRZがついにモデルチェンジを迎えた。それを受けワンメイクレースのベース車両も、新型であるGR86/BRZにスイッチすることが発表。名称も『TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup』へとあらためられ、第1戦は2022年の7月に開催を予定していることもアナウンスされている。
参戦費用を推測すると
まだGR86/BRZのレース車両は価格が公表されていないものの、旧型を例に参戦に必要な大まかな費用を考えてみたい。まず2012年にデビューした『86 Racing』の車両価格が280万円、通常グレードの最廉価モデル『RC』は200万円くらいだった。対する新型は約280万円となっており、80万円の価格差がそのまま反映されないにせよ、レース車両は300万円を超えると思われる。
とはいえロールケージやLSDといった専用のアイテムが最初から装着され、あとからカスタムにかかるお金が少なくて済むことや、堂々と公道を走行できる状態で納車されるので、リーズナブルだと考えていいかもしれない。
ココではGR86/BRZのレース車両を諸費用を込みで320~350万円と仮定する。そこからホイールをはじめ新車のパッケージに含まれていない、ホイールやシートといった装備をひととおり追加して70~80万円。レーシングスーツなどの装備やJAFのライセンスを所有していなければ、それらに必要なコストも30万円ほど考えておこう。
ライセンス以外はFIAの規格が変わったり、穴が空いたりしない限りは使えるので、あくまで初めて公認レースに参加する人だけ。ココまでが俗にいうイニシャルコストだ。
車両価格は予想にすぎないとはいえ、ドライバーとクルマを参戦できる状態にするだけで、安く見積もっても400万円はかかる計算になる。新車なので当たり前といえば当たり前だが、かなり勇気のいる初期投資額と言わざるを得ない。
ランニングコストは参戦体制、目標の違いなどでさまざま
さらにレースのエントリーフィーや練習走行の料金、タイヤ/オイル/ブレーキパッドのいわゆる消耗品、メンテナンスをプロに依頼するならその工賃、現場でのサポートを頼むメカニック日当や食事代、遠方のサーキットならスタッフを含めての交通費や宿泊費と、ランニングコストは参戦者の目標や環境によって大きく異なる。
地元のサーキットだけ出場し「完走すれば満足」というのと、シリーズ制覇を目指し万全の体制で全戦エントリーするのでは、数百万円もの差が出たとしても不思議ではない。旧型の場合フル参戦するなら1年で500万円が目安といわれ、クラッシュやエンジンブローがあれば修理代も加算される。つまり初年度からシリーズランキング上位を狙って参戦するなら、900~1000万円ほどの予算を見込まないとダメな計算だ。翌シーズン以降はランニングコストだけで済むとはいえ、すべて自己資金でまかなえる人はごくわずかだろう。
絶対に新しいGR86/BRZでレースしたい、というのでなければ狙い目になるのは旧型だ。レースカーの数が多いうえ新型が出たことで価格も下がるはずだし、各地方のサーキットごとにワンメイクレースが継続すると思われる。値落ちした中古のレース車両を買って地元のコースだけ参戦という楽しみ方なら、イニシャルコストもランニングコストも大幅に引き下げられること確実。華やかさは新型に及ばないかもしれないが、初めてのレースにはむしろコチラが向いているかも?