斬新なスタイリングが特徴だったエアロデッキ
新時代のFF3ドアを目指して開発さえたエアロデッキは、現在では3ドア・ツーリングワゴンと呼べるようなスタイリッシュなデザインで、個性的な存在感を発揮。そしてホンダがガルウィング型テールゲートと呼ぶ、ルーフ後部のガラス部分から開くリヤハッチは積載性に高く貢献して、分割で倒せる後席もあって利便性も確保した。
ボディサイズは全長4335×全幅1695×全高1335mm、ホイールベース2600mmと、4ドアセダンと絶妙なサイズ違い(室内長セダン:1915mm、エアロデッキ1820mm)もあって、欧州車のシューティング・ブレークの日本版的存在。当時、洗練されたホンダ車のなかでも、特筆して都会的を感じさせる存在感があった。
4ドアも含めて3代目となると、当時としては先進のABS(4WA.L.B)が備わる四輪ディスクブレーキ、2ポッド・キャリバー式の前輪ブレーキ、車速感応型パワーステアリング、キーレスエントリーや液晶デジタル・メーターなど、上質な装備を備えた仕様&オプションも用意。バブル期のより良いものを求めるユーザーに応える装備を揃え、アコードはファミリーカーであっても、スポーティだった。
二輪も四輪もホンダの時代ですと言わんばかりの存在感で次のモデル、現在のアコードまでつなげるのである。
「プチレジェンド」的だったアコードCAを追加
ところで登場2年後の1987年には、欧州仕様で人気の高い異型2灯式ヘッドライトの「アコードCA」を追加する。当時の感覚でいえば「順調に売れているアコードに、わざわざプチ・レジェンドのようなスタイリングのようなモデルを発売するのはなぜなのだろう」と思わせた。 おそらくこれは4代目アコードのリサーチであり、4代目アコードは固定式ライトで初代アスコットとして登場。姉妹車だったビガーは上級アコードのアコード・インスパイア&ビガーの姉妹車となる。これを想定してのリサーチだったのだろう。
かくしてリトラクタブル・ヘッドライトの4ドアセダン、3代目アコードはアコードとして唯一のリトラのモデルとなる。
スーパーカーの歴史を変えたといわれる初代NSXや、コンパクトカーの基準を変えた初代フィット、初代N360を現在に復刻させたN-ONE。 3代目アコードはそれらと違って、時代の要望、ホンダが作るホンダのDセグメントセダンはこうなりました。という結果なのではと思ってしまう。当時のホンダのラインアップは少なく、少ない車種でバブル期の多彩な要望に応えなければならなかったのだ。
希少なリトラの4ドアセダン。アコードは3代目のみなのだが、アコードといえばリトラを思い出す方は少なくないのではないだろうか?
■ホンダ・アコードCA2.0GXL(CA5)
全長×全幅×全高:4565×1995×1355mm
ホイールベース:2600mm
トレッド:前/後 1480mm/1475mm
車両重量:1120kg(サンルーフ:ABS付き1160kg)
乗車定員:5名
最小回転半径:5.2m
室内寸法:長×幅×高=1915×1425×1115mm
エンジン: A20A 直列4気筒SOHC
総排気量:1955cc
最高出力:105ps/5500rpm(ネット値)
最大トルク:15.5kg-m/3500rpm(ネット値)
タイヤサイズ:前/後 185/70R13 (前後とも)
ブレーキ:前/後 ベンチレーテッド・ディスク/LTドラム
サスペンション:前/後 ダブルウィッシュボーン式(前後とも)
■ホンダ・アコードCA GX(CA1)5速MT
全長×全幅×全高:4565×1995×1355mm
ホイールベース:2600mm
トレッド:前/後 1480mm/1475mm
車両重量:1060kg(ABS付き1080kg)
乗車定員:5名
最小回転半径:5.2m
室内寸法:長×幅×高=1915×1425×1115(サンルーフ付き高は1075)mm
エンジン: A18A 直列4気筒SOHC
総排気量:1829cc
最高出力:110ps/5800rpm(グロス値)
最大トルク:15.2kg-m/3500rpm(グロス値)
タイヤサイズ:前/後 165SR13 (前後とも)
ブレーキ:前/後 ベンチレーテッド・ディスク/LTドラム
サスペンション:前/後 ダブルウィッシュボーン式(前後とも)