さまざまなタイプがあるからこそ知っておきたい「ランタン選び」の基礎知識
キャンプではテントや焚き火台に注目しがちだが、名バイプレイヤー的なアイテムとして用意しておくべき存在が「ランタン」である。明るいうちの日帰りキャンプでは出番がないが、夜をまたぐテント泊、車中泊では大きな味方になってくれるはず。ランタンが照明器具であることは周知の事実だが、その実用性だけでなく「雰囲気」を盛り上げてくれる重要な存在として、使用する目的や場所によって使い分けるのが賢い方法となる。
一般的にランタンは「LED/蛍光灯ランタン」、カートリッジ式のLPガスを使う「ガスランタン」、灯油やパラフィンオイルなどを燃焼させる「オイルランタン」、ホワイトガソリンを使用する「ガソリンランタン」の4つに分けられる。ここでは燃料別にカテゴライズされるランタンについて解説しその魅力に迫ってみよう。
初心者におすすめ! 「LED&蛍光灯ランタン」
最初に紹介するのが「LED/蛍光灯ランタン」だ。その名の通り光源にLEDや蛍光灯を使用するもので、おもに乾電池やUSB充電式バッテリーを使用する。最近では蛍光灯に代わり明るく省電力のLEDが主流になっている。LEDは光の波長に紫外線を含まないことから、虫が集まりにくい性質があり、アウトドアでのテーブル照明として活用するキャンパーが急増中だ。
電源は電池または内蔵されたバッテリーに充電するだけの手軽さで、使用後のメンテナンスが不要のため初心者用ランタンとしても人気が高い。USBポートを備えたモデルはスマホへの充電機能を持ち、情報化時代にマッチした利便性を兼ね備えている。
LEDや蛍光灯のランタンは使用時に一酸化炭素を発生せず、光源が熱を持たないこともあり小さな子どもとのキャンプやテント内での照明器具としても最適だ。ほかのランタンとは違いポンピングや点火作業を必要としないため、スイッチを入れるだけで簡単に使えるのも大きな魅力。価格はさまざまで、最近では100円ショップやホームセンターでも販売されている。
燃料の汎用性が高く手軽に使える「ガスランタン」
燃料として家庭用のカセットコンロにも使用されるCB缶や、アウトドア用品専用のOD缶などのLPガスを燃料とする「ガスランタン」は、その手軽さもあり初心者から上級者まで幅の広いキャンパーに愛されている。
使用方法は光源となる本体とカートリッジ式のガス缶を接続するだけで組み立ては終了。ワンタッチ式の着火装置を備えている機種が多く、電子ライターを使う要領で点火することができるので利便性も高い。ガソリンランタンのようにマントルを装備する手間も掛からず、運搬中の衝撃にも強いのも大きな魅力だ。
また、LEDランタンよりも光量が大きいのが特徴だが、ガスを燃焼させるため密閉されたテント内で使用し続けることはできない。利点としてはバーナーやストーブなどを同じタイプのガス缶を使用するギアを揃えることで、荷物が減らせるのは大きなメリットになる。本体の価格は5000円前後が主流となり、燃料となるガス缶は500gのOD缶が1000円前後、250gのCB缶が100円から200円程度で市販されている。
屈強な実用性を持つ「オイルランタン」
一般的に「オイルランタン」と呼ばれるアイテムは、その名前の通り燃料に灯油や専用のパラフィンオイルを使用するものを指す。昔の海賊映画に登場するような、レトロなハリケーンランタンはキャンプサイトを飾るデザイン性の高さも大きな魅力。
アンティークな雰囲気が漂うオイルランタンだが、意外にも風雨に強いという高い実用性を兼ね備えている。基本的な構造は本体下部にオイルタンクが与えられ、そこから布製の芯で吸い上げた燃料を燃やし、ガラス製のホヤで炎を風雨からガードする。
ハンドル(ダイヤル)で火力を調整して照度を操ることができるシンプルな仕組みを持ち、昔ながらの石油ストーブと同様の構造といえはわかりやすいだろう。オイルを燃焼させて作り出された明かりは味わい深く、キャンプサイトに温かみを添えてくれる。
オイルランタンは数多くのブランドからリリースされ、価格も3000円から1万円程度とリーズナブルに設定されているのも、キャンパーに愛される理由のひとつである。燃料のパラフィンオイルは1Lで1000円前後となり、燃焼時に虫よけ効果のある香りを放つオイルも市販されているので、夏キャンプで使用するのも有効だ。また、オイルランタンは摩耗した芯を交換する必要があるのだが、機種によって芯のサイズや形状に違いがあるので交換時には注意が必要となる。
キャンプの主流をなす「ガソリンランタン」
現在のキャンプにおいて主流になっているのが「ガソリンランタン」だ。その仕組みは専用のホワイトガソリンを使用し、ポンピングという作業でタンク内部の圧力を上げて燃料を気化させて布製のマントルへと送り込み、マントル内部に送り込まれたガスを燃やすことで発光させる。
ガソリンランタンの構造は簡単なのだが、専用のホワイトガソリンを用意し、燃料の給油や使用後の燃料抜き、発光させるためのマントルの取り付け、事前の空焼き、焼いたマントルやガラス製のグローブに衝撃を与えないように運搬しなければならいなど、意外と手間が掛かるアイテムでもある。
にもかかわらず、その手間を掛けてでも使いたいと思わせる魅力がガソリンランタンには存在する。ガス圧調整によって自由に操れる照度、味わい深く暖かな光色、レトロなデザイン性の高さなどがキャンパーたちを魅了し、キャンプサイトを飾る必需品として人気を博し続けているのだ。
価格的にはもっとも有名なコールマン製品が1万5000円前後で流通している。使用するホワイトガソリンンの価格は1Lあたり1000円前後で購入することができる。
どのランタンを選ぶか……それが問題だ!
大きく分けて4つに分類したランタンだが、そのほかにキャンドルランタンなども存在し、どのランタンを使うのかは好みの問題になってしまう。ある程度の指標を示すのなら照明器具としての利便性を最優先するならLEDランタン、雰囲気を優先するのならオイルランタンに軍配が上がる。
テント内や車中では瞬時に点灯ができて一酸化炭素を発生させないLEDランタンを使い、タープの下でキャンプを味わうのならガソリンランタン、またはオイルランタンを使うキャンパーも多い。ソロキャンプなどの荷物を減らしたい場合にはガスランタンが優位に立つ。
この「どのランタンを選ぶべきか」という命題はキャンパーたちを悩ませる永遠のテーマであり、多くのキャンパーはすべての種類を手に入れてしまう『泥沼』へと足を踏み入れ、日々増え続けるキャンプ道具の保管場所の確保に頭を悩ませている。
最後にどのランタンを選ぶにせよ、購入する場合には使用できる時間をしっかりと確認すること。LEDランタンでは電池の連続使用時間、ガスランタンやオイルランタン、ガソリンランタンでは燃焼時間をチェックして頭に入れておくべし。深夜の電池交換や燃料補給は意外と手間が掛かる作業であり、使用時間を把握しておくことは快適な夜を過ごすためには欠かせないポイントなのだ。