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やっぱり「急がば回れ」だった! 自然渋滞を解消する「誰でもできる」解決方法とは?

高速道路(渋滞)

高速道路の自然渋滞は狭すぎる車間距離が生んでいた!?

 高速道路、バイパス道路、一般道……、どんな道であっても渋滞はドライバーにとってイヤなものだ。ノロノロとしか進まないのはイライラするし、約束の時間に遅れてしまうのでは、せっかくクルマで移動している意味がないと思ってしまうだろう。

 そんな渋滞の原因は大きく3つに分けられる。不可抗力的なのが事故渋滞。大きな事故で通行止めになってしまったりすると、個々のドライバーにはできることがない。また、道路に対して圧倒的に交通量が多い場合にも、渋滞は発生してしまう。合流渋滞や信号渋滞というのは、交通量と道路のキャパシティから避けることが難しい種類の渋滞ともいえる。工事で車線が絞られているときに起きるのも、こうした渋滞の一種といえる。

自然渋滞はドライバーの心がけで減らすことができる!

 しかし、ドライバーの心がけひとつで消滅させられる種類の渋滞もある。それが高速道路において「自然渋滞」と呼ばれるタイプの渋滞だ。

 登り坂になっているところや長いトンネルなど、意識していないと自然と速度が落ちてくるような場所をきっかけに発生するのが自然渋滞と呼ばれている。前述したような事故や工事が原因の渋滞であれば、事故現場や工事箇所を通り過ぎると渋滞が解消することが多く、原因がわかりやすいが、自然渋滞には渋滞の先頭は存在しない。

 そもそも、自然渋滞の原因は一台だけにない。走行車両の車間距離が十分でないことが自然渋滞を生み出しているといえる。

 そのメカニズムを簡単にいえば、とある一台がわずかに減速したとする。その減速自体はアクセルを少しオフにしたくらいだとしても、クルマが連なっていると最初の減速が波のように大きくなり、何台か後ではブレーキを踏むほどの減速になってしまう。そしてブレーキランプを見て、後方のクルマがブレーキをかけることで、その減速の波は大きくなり、しまいには停止するほどの渋滞へと成長してしまうのだ。

十分な車間距離を保つことが自然渋滞解消に繋がる

 そして、このメカニズムを成立させているのは車間距離にある。もし車間距離を十分にとっていれば前走車の減速に対して余裕を持って対応でき、また速度調整を車間距離によって吸収できるので後ろを走るクルマへの影響を最小限に抑えることができる。

 一方、車間距離が短いとちょっとした減速であっても自車で吸収することができず、後方へ影響を与えてしまう。それが前述したメカニズムによって渋滞を生み出すことに。つまり、各車が十分な車間距離を保っていれば自然渋滞は発生しないといえる。

 さらにいえば、一部のドライバーだけでも十分な車間距離を維持し、速度変化を吸収するようにするだけで、渋滞は起きないと聞くと驚くのではないだろうか。実際、そうした運転には「渋滞吸収運転」という名称がついている。具体的には、渋滞の手前で速度を落とし、車間距離を保ち、ブレーキを踏まずに一定速度で走るようにするだけである。

運転支援や自動運転車の普及も渋滞解消の解決策になる

 言葉にすると非常に簡単だが、渋滞吸収運転を知らない周囲からは、ダラダラと走っているようにしか見えず、車間距離を詰められない運転が下手なドライバーと思われるかもしれない。しかし、状況に応じて車間距離を長めにとり、そこで渋滞の元となる速度変化を吸収できるドライバーこそが、真の上級ドライバーなのである。

 あらためて整理すれば、自然渋滞の発生メカニズムは一部のクルマによる無意識の速度変化と、その影響を吸収できず減速の波を大きく成長させてしまうドライバーにある。逆にいえば、そうした要素を排除することができれば自然渋滞は発生しない。

 100%自動運転になると渋滞は大幅に減るという発言を目にすることもあるだろうが、それはクルマ同士が通信するような時代の完全自動運転になれば速度変化も起きないし、仮に起きたとしても十分に速度変化による渋滞の芽を摘むことができるからである。

 当面は、自動運転テクノロジーを搭載したクルマとそうでないクルマが混走する時代が続くわけだが、自動運転テクノロジーのなかに渋滞吸収運転を取り入れることができれば、100%自動運転にならなくとも、高速道路での自然渋滞を激減させることが期待できる。

 そこまで待たなくとも、すべてのドライバーが車間距離を多めにとって、ブレーキペダルを踏まずに、アクセル操作だけで速度変化を吸収できるような運転を心がければ、自然渋滞を減らすことはできるだろう。

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