日本でも始動開始か!? 東京オートサロン2022でコンセプトカー発表
パリ・ダカールラリーやWRC(世界ラリー選手権)をはじめとする、三菱車のラリーやレース活動を支えてきたメーカー直系の組織がラリーアート(RALLIART)だ。
そんなラリーアートは三菱のモータースポーツ活動縮小にともなってしばらく活動を休止していたのだが、2021年5月に大きな動きがあった。三菱自動車工業株主総会において、ブランド復活が明言されたのだ。まずは純正アクセサリーとして幅広いモデルへ展開していくとしつつ、「機会をとらえモータースポーツへの関与も検討する」と明かされた。
日本未導入車の「トライトン」&「パジェロスポーツ」に特別仕様車を設定
その第一弾として用意され、2021年11月末に発表されたのが「トライトン」と「パジェロスポーツ」の特別仕様車。レッド、シルバー、ブラックのストライプが、かつてラリーに参戦していた車両をイメージさせるサイドデカールをはじめ、赤いマッドフラップ、さらにRALLIARTのロゴをあしらったインテリアも採用されている。確かにこれはラリーアートだ。
そんなラリーアート復活に際し、三菱自動車工業の加藤隆雄社長は「三菱自動車、そしてラリーアートファンのみなさまへ、ラリーアートブランドの新しい商品をお届けできることをとても嬉しく感じております。このラリーアート復活第一弾となる特別仕様車に続き、魅力的なラリーアート商品を順次投入し、さらにはこのブランドのスピリットを感じられるような活動を検討しておりますので、新生ラリーアートにどうぞご期待ください」とコメント。今後の展開も大いに期待したいできそうである。
ピックアップトラック人気とモータースポーツが熱いタイでまずは復活!
ところで、「トライトン」や「パジェロスポーツ」というクルマはご存知だろうか? 知らなくても無理はない。なぜなら、日本に導入されていないモデルだからだ。
トライトンは、1tクラスのピックアップトラックで、ライバルはトヨタ「ハイラックス」となる。パジェロスポーツはトライトンと基本メカニズムを共用するフレーム構造のSUVで、いずれもタイで生産され、タイ国内はもとより世界各地へと輸出する世界戦略車。ある意味「三菱を代表するモデル」でもある(今回ラリーアートが設定されたのはタイ仕様)。
気になるのは、なぜ復活の地となったのが三菱自動車の本拠地である日本ではなくタイなのかということだろう。
そこにはふたつの理由が考えられる。まずタイという国は、クルマ好きが多くてドレスアップやチューニングなどカスタマイズ文化が根付いていること。街を走る改造車の比率は今の日本の比ではなく、まるで規制緩和の波を受けてカスタマイズが流行していた90年代の日本のようだ。もちろんモータースポーツも盛んで、ラリーアートなどスポーツブランドへのブランドイメージや憧れも日本以上である。
もうひとつは、タイが三菱自動車にとって重要な市場だということ。1961年から現地生産を始めたタイでは、今年3月には生産台数が累計600万台に到達(そのうち440万台は世界約120カ国への輸出)。タイ国内市場における三菱のブランドイメージも高く、トライトンやパジェロスポーツは人気モデルとなっている。
クルマ文化と三菱車人気の両面から、タイはモータースポーツブランドを展開するのに好条件がそろっているのである。だからラリーアートの復活はタイでスタートなのだ。もちろん、日本への導入もしないわけがないだろう。日本での復活も準備段階に入っていると考えていい。