上級ロングツアラーとしても申し分ない最新ディーゼル・ゴルフ
フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンは12月21日、「ゴルフ8」に最新世代ディーゼルエンジン「2.0TDI」を搭載した新型「ゴルフTDI」を発表した。2022年1月7日から全国のVWディーラーで発売する予定で、4グレード展開、価格は344万4000円~408万8000円となる。先代と比べてどう進化したのか、さっそく試乗リポートをお届けする。
ディーゼルエンジンの環境性能がさらに向上
2021年6月にデビューした「フォルクスワーゲン・ゴルフ8」に半年遅れでディーゼルエンジン車が追加された。搭載されるのは「ツインドージング」と呼ばれる、「デュアルAdBlue噴射」システムをもつ最新世代の「2.0TDI」エンジン。
始動直後の低温時は上流側、暖まってくると下流側の2カ所でそれぞれAdBlueを噴射することにより、先代のゴルフ7.5に比べて80%もの窒素酸化物(NOx)を低減させているという。
最高出力は150ps/3000~4200rpm、最大トルクは360N・m/1600~2750rpmで、先代の150ps/3500~4000rpm、340N・m/1750~3000rpmと比べると、より低回転域から最高出力・最大トルクを発揮するようになっている。
なにより「ティグアン」のようにモデルチェンジ後にディーゼル仕様車が日本市場から消滅してしまうようなこともなく、無事にゴルフ8に引き続き導入されてひと安心、というのがもっとも正直なところ。
静粛性がビックリするほど向上
試乗してまず一番最初に驚いた点は静粛性の高さ。そもそも先代「ゴルフ7.5」に搭載されていた150ps仕様の2.0TDIディーゼルユニットは、先行してデビューしていた「パサート」搭載の190ps仕様や「シャラン」搭載の177ps仕様の2.0TDIディーゼルを大きく上まわる静粛性が得られていたが、ゴルフ8になってさらに向上。
とくに市街地におけるごく低速でのストップ&ゴーで、どうしても気になるディーゼル特有のガラガラ音が大幅に軽減されている。たとえばゴルフ7.5では「ディーゼルの割に静かですね」と走り出して30秒後に同乗者に言われていたのが、ゴルフ8では「ええっ! もしかしてこれディーゼルですか!?」と数分経過した後に驚かれるようなレベルにまで仕上がっている。
またTDIユニットは高速域においてもスムースで、風切り音の少ない0.275というCd値を達成したボディとの相乗効果により、より快適で疲労感の少ない長距離移動も楽しめる。
もちろん燃費と経済性も向上
WLTCモード燃費は20.0km/Lで、ゴルフ7.5の18.9km/Lに対して決して大幅に向上したわけではないが、日常使用においても十分に達成可能な現実的な数値であるのも確かだ。マイルドハイブリッドを採用したゴルフ8の「eTSI」のように、巡航時のアクセルオフでエンジンが停止する機構が備わっていればさらなる向上が期待できたが、残念ながらそれは今後に期待、というところだ。
参考までに先代ディーゼルの市街地・郊外・高速道路を織り交ぜた平均燃費は18km/Lであったが、新型でもWLTC値と同等の20km/Lが達成できるようになった。20km/Lと言っても国産車のハイブリッド勢にとっては珍しくもなんともない数値ではあるが、使用燃料がリッターあたり単価が2割ほど安い軽油であることを考慮すると魅力的。
ただし使用状況によっても左右されるが、おおよそ1000km前後に1Lの割合でAdBlueを補充する必要がある。ちなみに海外での品不足が報じられているAdBlueだが、ここ日本においては国内生産比率がおよそ8割ということもあり、本来であれば戸惑う必要はそれほどなかった。しかしこの年末になって転売行為による高騰と品薄という傾向も見られるようになってしまい、余計な心配が生じてしまっているのが残念なところだ。