全日本GTとスーパー耐久。そして2022年にふたたびSUPER GTに
ふたたび日本国内へと活躍の場を移したZ。参戦カテゴリーは国内最高峰で“最速最強のハコ車レース”と評される、全日本GT選手権(JGTC)でした。Z33をベースにチューニングしたマシンが参戦することになったのですが、じつはそれ以前も、JGTCにはZが参戦していました。国内の有力チームでマシン制作も行っていたチーム・ルマンが、Z32をベースにGT500(当初はGT1)クラス用のマシンを製作して参戦していたのです。
なかなか結果を残すことができず、アメリカからGTSマシンを輸入して参戦したシーズンもありましたが、それでも好結果を残すには至っていませんでした。Zファンにとっては消化不良のシーズンが続きましたが、いよいよ日産ワークスがJGTCに乗り出すことになりました。
まずは2003年にGT300デビュー。翌04年にはGT500にも参戦を開始しています。GT300仕様は改造規則も制限が厳しく、ツーリングカー的なマシンとなっていました。
対して、日産・トヨタ・ホンダの3メーカーが鎬を削っているGT500仕様は、モノコックのキャビン部分を残して前後を切断、新たにパイプでフレームを組むという、ベースとはまったく別物の純レースカーに昇華。もちろんNISMOで製作されたZも車両規則に則って仕上げられていて、エンジンもVQ30DETTを搭載していました。
そしてこのデビューシーズンに2勝を挙げた本山哲/リチャード・ライアン組がドライバーズチャンピオンに輝くとともに、NISMOがチームチャンピオンとなりダブルタイトルを獲得しています。
一方、N1耐久シリーズを原点としているスーパー耐久シリーズでも03年にデビュー。初年度はトラブルに悩まされたものの翌04年シーズンには全8戦のすべてでクラス3を制し、4勝ずつ勝利を分け合った星野一樹組と尾本直史組がシリーズ1-2位につけていました。
当時のスーパー耐久クラス3は、毎戦のように10台前後が参加する激戦区のひとつで、ホンダNSXやマツダRX-7、それにBMW M3とライバルも強力でしたが、フェアレディZは速さと強さでそれらライバルを一蹴していました。NISMOでもそれに応える格好で、07年にはZ33をベースにしたバージョン・ニスモ Type 380RS-Cをリリース。
2011年にはその後継モデルとしてZ34をベースとしたフェアレディZ ニスモRCを発売し、スーパー耐久に参加するチームをサポートしてきました。
そんなフェアレディZ……このネーミングは国内専用なので、参戦時のネーミングは世界共通のZとなりますが、来シーズンはいよいよSUPER GTにカムバックしてきます。先日、富士スピードウェイでお披露目会はありましたが、車両の詳細はまだ公表されていません。それでもレギュレーションによる規制も厳しく、今シーズンまでGT-Rとして熟成されてきたシャーシに、新たに新型Zのシルエットを持ったカウルを纏ったものとなるはずです。
熟成されたシャーシに、よりシャープで空力的に優れたカウルワークが組み合わされるとなれば……。これはもうファンならずとも期待せずにはいられません。来シーズンの開幕が楽しみになってきました。