トヨタ2000GT、トヨタ・スポーツ800、トヨタ1600GTの3台が揃い踏みだった貴重なパンフレット
まず最初はトヨタから。手元に奇跡的に残っているのは1970年前後のものだが、写真で紹介している、兄弟車のセリカとカリーナが見開きで並ぶページは、新時代の到来を象徴するような印象があった。セリカはまだLB(リフトバック)登場前だが、両車の最初のイメージ色だったセリカのカジュアルターコイズM、カリーナのオーシャンブルーM(“青海原”と和訳がついていた)も懐かしい。
そのトヨタではほかにも、トヨタ2000GT、トヨタ・スポーツ800、トヨタ1600GTの3台が揃い踏みという、これもまた夢のようなページがある。2000GTが谷田部で3昼夜連続78時間、1万6000kmを平均時速206.18km/hで走り、16の世界・国際新記録を打ち立てたことも紹介されている。別のページには初代カローラも。もう1冊の別のパンフレットにも後期型のトヨタ2000GTが載っているほか、初代のコロナ・マークIIや、車名から“カローラ”の名が外されたクーペのスプリンターも載っている。
またさらに別のパンフレットは、文面からどうやら1972年のモノのようだが、ショーモデルとして当時の実験安全車ESV-2が紹介されている。クラッシャブルゾーンを確保するために2シーターとし、ガスバッグシステム(今のエアバッグのこと)を備える説明もある。
そのほか乗用車とは別に商用車のパンフレットも昔のモーターショーでは用意されていた。マークIIシングルピックアップやパブリカ・バン、初代ハイエース、ミニエースといった(当時をご存知の方には)懐かしい顔ぶれが載っている。
“技術“を見せつけた日産らしいパンフレット
次に日産のパンフレットをご紹介しよう。手元で“発掘”できたのは1970年と1972〜73年のモノだが、まず1970年のパンフレットには、その年のショーでも展示されたNISSAN 315X-a、bなるネーミングの電気式自動車シティ・ランナバウト(今で言うEV)が載っている。
ほかにも、大型バス、トラックを想定したガスタービン・エンジン、さらにELスペシャルと称した、電子制御でクルマのさまざまな状態を感知するシステム搭載のセドリックの試作車や、無公害化を目指した排気ガス浄化装置付きのプレジデントの実験車、PROTO-AXなどが紹介されている。昔のTV−CMの“技術の日産”のナレーションが懐かしい。
同年のパンフレットの市販車は、フェアレディZ 432、初代ローレル、初代チェリー、箱スカ、セドリックと統合前のグロリアなども。 日産の1972〜73年のパンフレットに目を移すと、トップページには初代のプレジデントと、フェアレディ240ZGが。さらにページをめくっていくと、ブルーバードUと最終型の510ブルーバード、“ゆっくり走ろう”の2代目ローレル、最初の4ドアハードトップが注目されたセドリック&グロリア、ケンメリ・スカイライン、チェリー・クーペX-1などの姿が並ぶ。
同じ年の商用車版は3つ折りのパンフレットで、こちらには当時の懐かしいバン(チェリー、サニー、ブルーバード、スカイライン、セドリック&グロリアなど)やワンボックスのチェリーキャブライトバン、トラックのホーマー、マイクロバスのシビリアン、ライトコーチなどが載っている。
手元のカタログは、いすれもざっと50年前で、ホチキスのサビ具合が年月を物語る。懐かしく、いい時代だったと思えるころの日本車の姿がそこにはある。