年式相応の外装のヤレ感を板金塗装で復活
では具体的にこのフィガロの特徴を見ていくこととしよう。旧車のレストアで一般的に見られるのは純正に限りなく近く修復・復元する手法。しかしG・B・Tサービスの加藤さんは自分流のカスタムを施して、新たな魅力を注ぎ込むことを良しとしている。手に入れた際には内外装は年式相応にヤレてかなりボロボロ、塗装もはがれてボディには凹みも各所にあったという。
そこで本業である板金塗装の腕を振るってボディを美しく修復していくことにした。ここまでは一般的なレストアだが、加藤さんはそこからオリジナルの魅力を注ぎ込む。
外装はストックのカラーではなく、あえてスズキ・スイフトのイエローを使ってオールペン。色のセレクト理由は“きれいでかわいい”というもの。実際に仕上がったクルマを見ると、まるで純正色にあるかのようなマッチングの良さを感じさせ、丸っこいボディのカワイさも倍増させている。
内装にもオリジナルコーデが施され愛らしさをさらに演出
さらに内装はシートの張り替えを行った。こちらも純正色ではなくホワイトに対して黄色を差し色に使いオリジナル化。またオープントップも同様に、張り替えを施してブラックカラー化している。フロアマットも黄/黒のコンビで外装色に合わせたコーディネートを施すなど、内外装にわたってオリジナルとは異なるカスタム処理を加えているのが特徴だ。
新車販売時から30年を経ているとは思えない車両に再生したフィガロ。加藤さんにとってこのデザインは、現代のクルマにはない“愛おしさ”を感じるのだという。
加藤さん曰く「好きなクルマをきれいにして売り出すのが楽しいんです。カスタムを込めてほかにはないクルマにするのも好きです。なによりもやっていて楽しいのがこの作業なんです」と、仕事を越えた旧車レストア&カスタムの楽しみを語ってくれた。
実際に日産パイカーのほかにも、丸目やメッキパーツなどのレトロなデザインを持つ初代ミラジーノなども加藤さんのお気に入り。これまでもフィガロと同様にミラジーノをオリジナルカラー化するなど、カスタムして販売した実績も持っている。
ボディだけじゃなくレンズの黄ばみ解消もレストアのポイント!
さまざまなクルマを板金塗装、さらには旧車レストアを実践している加藤さんに、フィガロをはじめとした旧車を美しく見せるポイントを聞いてみた。
「細部の美しさは重要ですね。メッキパーツはとくに目立つので、パーツが手に入る場合は交換、絶版になっているパーツは磨きを掛けて美しく仕上げます。このフィガロに関しては再メッキは施していませんが、それもひとつの選択肢になるでしょう。そして当然ですがボディの光沢は絶対ですね。元の塗装を苦労して修復するよりも、オールペンした方が近道の場合もあります」
さらにフィガロの場合はガラスレンズのヘッドライトだが、近年のクルマは樹脂レンズのヘッドライトが多い。ここも加藤さんはポイントだと言う。
「ヘッドライトがきれいなだけで、クルマはぐっと新しく見えます。樹脂のレンズは経年劣化で黄ばみが進むので、新品パーツが出るならば交換するのも手でしょうね」
現代のクルマにはないデザインや味わいを持つ旧車。好みのクルマを自分流にアレンジして乗りこなすのもクルマ好きの楽しみ方のひとつだろう。中古車市場ではこそこその高値(平均価格約200万円※編集部調べ)になってしまってはいるが、レトロ&カワイイフォルムを求めてフィガロを探し出して、自分だけのカーライフを満喫するのも良いだろう。
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