冬の出発前に立ちはだかる「フロントウインドウの凍結」
今年も寒い冬がやって来た。この時期にありがちなクルマのトラブルといえば、フロントウインドウが夜の間に凍結してしまうこと。出かけるまで時間に余裕があればじっくり暖気できるが、出勤や誰かと待ち合わせしているようなケースでは、焦ってそのまま走り出して危険な目に遭った、などという苦い記憶を持つ人がいるかもしれない。そこでガチガチに凍ったフロントウインドウを安全かつ、素早く解かすことができるテクニックを紹介しよう。
すばやく視界確保は「解氷剤」
もっとも手軽でメジャーなのは、カー用品店などで売っている解氷剤。雪が積もっていたり外気温が異様に寒いときは別として、ごく一般的な凍結であれば1分ほどで解かすことができるだろう。金額も安いモノなら500円を切っているし、冬の朝が氷点下になる地域で暮らす人は、トランクに常備しておけば安心だと思われる。
併せて使いたいのが凍結を強制的に削ぎ落とすスクレーパー。表面の雪や氷が分厚いときは最初にある程度まで剥がしてから、解氷剤をスプレーすれば時間は短縮できるし使用量の節約も可能だ。
何も持っていなければ気長にデフロスターを使うしかない。室内から温風をフロントウインドウに当てるだけとカンタンだが、とにかく時間がかかるしエンジンをかけっ放しにしておくのは、アイドリングストップが声高に叫ばれる時代に逆行するし、寒いからといってクルマを離れれば盗難の可能性も増す。
ちなみに昔から絶対にNGと言われているのが、フロントウインドウに直でお湯をかける方法だ。駐車場が自宅なら非常にカンタンで効果的に思うかもしれないが、急激な温度差が原因でガラスが割れてしまう危険性が高い。その原理はこうだ。どんな物質も高温になると体積は大きく、逆に低温になると収縮し堆積は小さくなる。つまり凍ったガラスにお湯をかけると熱で膨張しようとする力、そして冷たい外気温のせいで収縮する力が同時に働いて、ガラスが割れたりヒビが入ったりするというワケだ。
ただしお湯を溢れる心配がない厚手のビニール袋に入れ、フロントウインドウを撫でるような方法で急激な温度差を与えなければ大丈夫という手もあるが、念のため細心の注意が必要だ。
凍結させない手立ても利用
次は凍ってからの対処法ではなく、凍りにくくするためのノウハウを。有名なのはフロントウインドウ専用のカバーだ。クルマ全体を覆うタイプではないので脱着はカンタン、さらに断熱性を高める構造も採用しているため、凍結の防止には大きな効果があると人気が高い。
UVカット機能で夏の暑さも防いでくれる製品や、車種専用のサイズに設計された製品もあるので、予算や目的を考え後悔しないように選ぼう。
もうひとつ以外な効果があるのは撥水剤。ガラスに塗り込んでおくと凍るには凍るものの、スクレーパーで剥がすのが非常にカンタンだろう。
ほかにはゴムが凍ってガラスに貼り付かないようワイパーを立てておくとか、室内の湿気をなるべく少なくするといったアイディアも。フロントウインドウが凍結するのを「冬だから仕方ない」とあきらめず、少しでも安全運転や時間の節約に繋げるための努力を忘れずにしてゆきたいものだ。