数々の名車たちとともに自然と風土をゆっくり味わえる
朝8時からゼッケン順に「ヘリテイジ美の山」をスタート。各車、1分の間隔をあけるので、先頭車両と最後のクルマではスタートが30分以上も違うわけだ。われわれはゼッケン番号31だったので、スタート直後のクラシックカーの数々を趣味で撮影しまくった。その写真はギャラリーでご覧いただきたい。
やがてわがカルマンギアもスタート。秋から冬へと向かいつつある朝の秩父路は、気温も寒すぎず、旧車のエンジンにちょうどよく、格好のドライブ日和だ。スピードを競うラリーではないし、愛車のエンジン音が機嫌よさそうなペースで流していく。
信号などもあり、次第にいくつかのカタマリができていくのは公道ラリーのお約束。第1チェックポイントのあたりでそれは顕著になる。自分の前を行くクルマがいると、ルートを間違える心配が減って安心できるし、先導車は先導車で、間違えてはいけないプレッシャーを感じてしまったりする。集団で何台もまとめてミスコースしてしまうのも、公道ラリーのあるあるなのだ。
そんな心理的な駆け引きもありつつ、しかしさまざまなクラシックカーたちと連なって走るのは、やはり楽しい! たとえば「サンビーム・スティレット」(ヒルマン・インプのクーペ版)や、「トヨタ・パブリカ・コンバーチブル」、「ホンダ1300クーペGTL」、「ボルボP1800S」といった名車の数々が走っている姿を、挙動を含めて間近でじっくり見られるのだから最高だ。
ツーリングのイベントだとどうしても似たジャンルのクルマ同士になりがちだが、ヒストリックカーラリーなら、「動く自動車博物館」をその群れのなかで鑑賞できる。これも醍醐味のひとつだろう。コース沿いでは地元の人たちがラリーの列を見物しながら手を振ってくれる。こちらも手を振り返して交流する。
ゴール後はクルマと「秩父音頭」をのんびり鑑賞
コースを順調に進み、第3チェックポイント「道の駅みなの」では軽く休憩しながら、地酒「秩父錦」を一升瓶で購入してレシートに打刻。25分の指定のところ、24分だったのでまあまあ、悪くない。その先、スピードガンで「38km/h」に近いのか計測しているポイントでは40km/hだったので、これも上々と思うことにしよう。
ゴール地点の皆野町役場で提示されたクイズは、「コマ図の16の信号から18の信号までの数は幾つあったでしょうか?」という内容で、10秒制限! 覚えているわけもないと思ったが、コ・ドラの米澤氏は意外とちゃんと記憶していて、正解との誤差たった1。
戦績は、36台中19位と、悪くもないけれど、なんともコメントしづらい順位……。上位はヒストリックカーラリーの経験が豊富な方たちが多かったので、次回に参加する機会があれば、もう少し意識を高くもって向き合い、ベスト10を目指したいところだ。
皆野町役場の駐車場には、皆野サンデーラリーのクルマを見に来たギャラリーのクルマも続々。しかも希少な「シムカ1200S」が2台も来ていたり、こちらもまたディープな面々だ。エントリー車とともにちょっとしたクラシックカー・ミーティングの様相を呈し、旧車オーナーや地元の人たちとで賑わったのだった。
エントリー車が展示された駐車エリアは円形で、もともと、皆野町発祥の「秩父音頭」を踊るための場所なのだとか。エントラントがランチのお弁当を食べ終わったころに、地元の皆さんが演奏を披露してくれた。
日曜の朝に集まって、昼過ぎにさっと解散するスタイルのイベントは、帰りの渋滞を心配する必要もなく、とてもスマートな大人の遊びといえる。
さらに参加したオーナーたちは、皆野町の自然も人々も好きになって、また来たいと思って帰路につく。地域おこしの新たなあり方のひとつとして、こういったヒストリックカーラリーが今後も全国各地で盛り上がっていくと期待したい。
コ・ドライバー米澤のインプレッション
ヒストリックカーラリーに参加するのは、これが3回目。コ・ドライバーの役割は、コマ図と呼ばれるルートブックを見ながらドライバーにルート指示をしつつ、競技の時間管理をする重要なものです。例えば「1.5km先、信号右折。手前に看板あり。その先、道狭し!」なんてことを言いながら、ゴールを目指します。
初めて横に乗るカルマンギアに興奮を抑えきれず、ドライバーを務めた編集部・竹内に質問攻めをしていたら、うっかり……なんてこともありましたが(コ・ドラ失格)、なんとか乗り切ってフィニッシュ。
敷居が高いと思われがちのヒストリックカーラリーですが、機会があればぜひ参加してほしいイベントのひとつです。あっ、でも、あくまでも遊びなので、競技に勝つためにセカセカしたり、イライラしたりしないで景色を見ながら楽しんでくださいねっ。