ジャジャ馬を飼いならす喜びに溢れていた80’sボーイズレーサーたち
いまでもクルマ好きの層が厚い、おじさん世代が夢見る少年だった頃の愛車といえば、1980年代のボーイズレーサーたち。もう40年近く前のことになるあのころ、あのクルマたちに出会ったからこそずっとクルマ好きでいられたのかもしれない。軽くて、安くて、ちょっと危険な当時のボーイズレーサーたちを振り返ってみることにしよう。
切れ味鋭く、まさに「かっとびスターレット」
【トヨタ・スターレット/EP71型】
まずは80年代のボーイズレーサーとして真っ先に頭に思い浮かぶ、EP71から。この3代目スターレットのキャッチコピーは「かっとびスターレット」だった。スターレットの血統もこのEPからFFになったが、FF化と同時にサスペンションもフロントにストラット、リヤはトレーリング・ツイストビームに進化。タイヤもスポーティな60偏平タイヤ(185/60R14)を装着したことで、クイックなハンドリングが楽しめた。
エンジンは7000rpmまで一気に回る新開発の「レーザー2E-12バルブ」(吸気2/排気1の3バルブ)で、最高出力は93psにパワーアップ。パワーウエイトレシオは7.96kg/ps(Siリミテッド)で、「かっとび」の名に恥じない軽快さが売りだった。1984年の登場で、モータースポーツベース車「Ri」は96万7000円(東京地区発売当時価格)と、100万円以下で新車が買えた!
愛らしくも獰猛なスタイリングのブルドッグ
【ホンダ・シティターボⅡ/AA型】
スピリット・ホンダ201Cで、ホンダがF1にカムバック(第2期)した1983年に登場したのが「ブルドッグ」ことシティターボⅡだ。前年に登場したシティターボでも、1.2Lですでに100psを達成していたが、ブルドッグでは、インタークーラーターボになって、110psまでパワーアップされた。
ボンネットにはパワーバルジが装着され、オーバーフェンダーともいえる「ダイナミックフェンダー」が張り出し、エクステリアも精悍。ドライバビリティと燃費性能に優れたロングストローク型のエンジンにターボチャージャーの組み合わせは、のちのホンダF1エンジンにも取り入れられ、1988年にマクラーレン・ホンダ(MP4/4)が16戦15勝の偉業を成し遂げることにもつながった。
また、ワンメイクレースのシティブルドッグレースも盛り上がり、クルマがヒットしたのでアフターパーツも豊富だった。当時販売価格123万円(東京地区)。
パワフルなツインチャージャーだったがシャーシの脆弱性が玉に瑕
【日産マーチスーパーターボ/K10型】
マーチスーパーターボは1989年の登場であったが、ベースのK10系初代マーチは1982年にデビューしており、そのモデル末期として登場したホットモデルだ。当時この1Lカークラスで唯一の4気筒エンジンを搭載し、それに低中速に強いスーパーチャージャーと、高回転で伸びるターボチャージャーの両方を組み合わせ、110psまでパワーアップさせたのがスーパーターボたる所以だ。
マーチターボが76psだったので、スーパーターボがいかにパワフルだったかわかるはず。車体は770kgと軽かったので速いことは速いが、シャーシの設計が古く、ものすごく乗りにくかったという印象しかない。当時販売価格115万3000円。