「小型車+ターボ」や「ミニバン」のルーツが生まれた1982年にタイムスリップ!
自動車のトレンドは時代とともに移り変わっていくが、その誕生は意外にも地味なもの。そこで間もなくやってくる2022年から、40年前にタイムスリップ! 1982年に発売されたクルマのなかから、のちの自動車トレンドに影響を与えた個性的なクルマにフォーカスしてみよう。
今から40年前、1982年ってどんな年?
昨今若者の間で昭和ブームとなっているが、昭和末期の象徴として知られる「テレホンカード」が使用開始されたのが昭和57年、つまり1982年だ。またそれまで岩倉具視が描かれていた「500円紙幣」が「500円硬貨」となったのも同じ1982年。マイケル・ジャクソンの「スリラー」に熱狂したのもこの年だ。
自動車業界を目を向けると、「トヨタ自動車工業」と「トヨタ自動車販売」が合併し、「トヨタ自動車」が発足した。またレースの世界では、R30スカイラインの「グループ5」マシンが快進撃を開始。通称「スーパーシルエット」と呼ばれ、多くのファンが熱狂した、そんな時代だ。
そこで今回は、来たる2022年で40周年となる1982年にデビューを飾った自動車のなかから、のちの自動車業界に大きな影響を与えたボディスタイルやパッケージングをもつ車両をピックアップしてみよう。
ホンダ・シティターボ:若者に支持されたパワフルトールボーイ
「トールボーイ」というまったく新しいデザインを採用した3ドアのコンパクトな車体に、1.2Lエンジンを搭載して1981年にデビューした「ホンダ・シティ」。そのラインアップへ翌1982年に追加されたホットモデルが「シティターボ」だ。
100psのターボエンジンを搭載しながらも外観はほとんどノーマルモデルと変わらないが、ボンネットにパワーバルジが備わるのが大きな特徴。実用的な小型乗用車にパワフルなエンジンを搭載したことで、若者に大人気となったのだ。現代に置き換えると「GRヤリス」のようなパッケージングを40年も前に発売していたことになる。
ちなみに翌1983年には大きなブリスターフェンダーで拡幅し「ブルドック」の愛称で知られる「シティターボII」が登場。インタークーラーを追加して110psにパワーアップし、ワンメイクレースなども開催される人気車種となった。
トヨタ・スプリンターカリブ:クロスオーバーSUVの元祖
1981年の東京モーターショーに参考出品された「RV-5」を、ほぼそのままの形で1982年8月に発売した「スプリンターカリブ」。5ドアステーションワゴンを縦に伸ばしたような2ボックスのトールボディに、全車5ナンバーの四輪駆動という変わったパッケージで登場。スキーファンや雪国のユーザーに人気となった。
現在の「クロスオーバーSUV」的な要素を今から40年も前に取り入れ、ヒットさせていたことにも驚かされるが、アメリカにも「ターセルワゴン」の名前で輸出され、日本国外でも人気となった。
ちなみにクロスオーバーSUVの代表格である「スバル・アウトバック(日本名レガシィアウトバック)」の前身「レガシィグランドワゴン」は1994年、「アウディ・オールロードクワトロ」は1999年に登場していることを考えると、いかにスプリンターカリブが先進的であったかが理解できるだろう。