日産プレーリー:早すぎたミニバン
現在の自動車業界において、「ミニバン」というジャンルはなくてはならない存在となっている。そんなミニバンのルーツを探っていくと、行き着くのが「日産プレーリー」だ。スプリンターカリブ同様、縦にストレッチした2ボックススタイルのボディに3列シートを装備。また後席のドアはそれまでワンボックスカーの専売特許だったスライドドアを採用する。北米にも「スタンザワゴン」の名前で輸出された。
ちなみに技術的な話をすると、FFレイアウトとすることでセンタートンネルをなくし、センターピラーレス+両側スライドドアなど、現在のミニバンが持つ定番の構造を数多く備えた先進的な車両だった。だが、時代を先取りしすぎたためか、初代モデルは決して商業的には成功とはいえなかった。
フォード・テルスター:日本で買えるアメリカ車
1979年にフォードと資本提携を結んだマツダは、アジア太平洋地域の小型車生産を担当。日本でもフォードブランド専門の「オートラマ」店を開設し、1982年より「テルスター」、「レーザー」、「スペクトロン」といった車種を販売する。今でこそ当たり前となったが、当時としては珍しいディーラーで買える「右ハンドルのアメリカ車」ということで人気となった。
なかでも「カペラ」の姉妹車だった「テルスター」は、独特のフロントマスクとフォードのエンブレムで「舶来感」を前面に押し出したデザインで、4ドアセダンと5ドアハッチバックがラインアップされた。デビューイヤーである1982年には、マツダ・カペラとともに日本カー•オブ•ザ•イヤーを受賞している。
あまり知名度は高くないが、テルスターはその後も5代目までのモデルチェンジを経て2001年まで販売された長寿モデルとなった。
三菱スタリオン:リトラクタブルヘッドライトのスペシャルティカー
1983年公開のカーアクション映画「キャノンボール2」で、ジャッキーチェンが乗っていたことでも有名な「三菱スタリオン」も、1982年にデビューしている。直線基調のシャープなボディデザインに「リトラクタブルヘッドライト」というパッケージングは、近未来を連想させる当時としては斬新なデザイン。「キャノンボール2」でもハイテクな最新の日本車という立ち位置で描かれている。
ちなみに似たようなコンセプトの車両として、同じく1982年登場の「日産パルサーエクサ」が挙げられるが、同じ系統の3代目CA型「ホンダ・アコード」や、「スバル・アルシオーネ」が1985年の登場であることを考えると、スタリオンとパルサーエクサはいずれもこの手のスタイルの先駆者であると言える。