スロットルコントローラーで何が変わる?
ではスロットルコントローラーを使うと具体的に何がどう変わるのか。上でも触れたとおりイチバンの違いはレスポンス。ノーマルではアクセルを開けてからワンテンポ遅れて回転数が上がっていたのが、右足の動きに連動するようにレスポンスよく吹き上がるようになる。
またノーマルは燃費を重視しスロットルがじわっと開き、立ち上がりの加速はどうしても鈍くならざるを得ない。それがスロットルコントローラーでスポーティに味付けすれば、実際のパワーに変化はなくとも体感する加速はまるで別モノだ。アクセルを踏んでも思うように進んでくれないのは、スポーツ走行に限らず街乗りでも大きなストレスだろう。
もうひとつスロットルコントローラーの利点を挙げるなら、状況に応じていくつものモードに切り替えられる点。いくらスポーツカーとはいえ、つねに全開で走行しているワケじゃなく、レスポンスよりも経済性を優先させたいケースがあるに違いない。そんな場合はボタンひとつで燃費のいいモードに変更できるし、ノーマルより低燃費なモードを搭載している商品も珍しくない。
なおスロットルの開度を変更するには、コンピュータ書き換えという手段も。コチラは燃調や点火時期なども変更できるので単純に比較することは難しいが、コストパフォーマンスと切り替えできる利便性なら、スロットルコントローラーに軍配が上がる。最後は装着されたクルマを試乗し、いくつかのモードを試してみた感想を。
スロットルコントローラーを使った感想
試乗は上でも紹介しているシエクルの『オーバーテイクブースター』を装着した、アルトワークス(HA36S)だ。まずスイッチをオフにした状態で走ってみる。聞いたところHA36Sは電子スロットルのセッティングが悪くなく、ノーマルでもほかのクルマほどレスポンスの悪さを感じないらしい。確かに停止した状態からの加速もアクセルを踏み直した際のレスポンスも、とくに不満はなく「どこまで差が出るだろう?」と思ったほど。
ところがイチバン強烈な加速の『パワープラスモード』に切り替わると、出足のよさは違うクルマに乗り換えたかと錯覚するほど鋭い。シートの背もたれが押し付けられるようなフィーリングで、知らずに乗ったらブーストアップやタービン交換と勘違いしても不思議じゃない。タコメーターの針もアクセルのオン/オフに合わせ、明らかにレスポンスよく上下するのに驚かされた。追い越しや合流も今まで以上にスムースだし、何よりも運転していて楽しいのが印象に残っている。
なお、ふたたびノーマルに戻すと最初は何の不満もなかったのに、やたらと鈍くかったるい加速に感じてしまった。ちなみに『オーバーテイクブースター』ならではのフルオートモードは、手でスイッチを操作せずともアクセルの踏み方でモードが切り替わるので、手や視線を移動させる必要がなくドライビングに集中できるのも嬉しい。付属のスイッチを押して切り替えるマニュアル操作モードもあるが、正直フルオートモードだけで何の問題もないはずだ。
メーカーやモデルによって多少なりとも味付けが違うとはいえ、ノーマルよりスポーツに振ったモードがあるのはどれも一緒。購入を考えている人は、予算だけじゃなく燃費を重視したモードがあるか、そして拡張性の高さや付加機能の多さを検討したうえで、自分のカーライフに合う製品を選んでほしい。スロットルコントローラーを使っている人から、よく「もうノーマルには戻れない」と聞いていたが、自分で試乗したらまるで同じ感想を抱いてしまった。
なお、上でも述べたとおりスロットルコントローラーは、絶対的なパワーを上げるためのアイテムではない。ただしエンジンの回転数が同じであれば、アクセル開度の高い方がトルクは出る。スポーツに振ったモードで出だしが力強く感じるのは、アクセル開度の違いによるトルクの差というワケだ。
まとめ
スロットルコントローラーで乗りやすさと楽しさは向上するし、サーキット走行のタイムにも影響すること確実だろう。電子スロットルの乗り味に不満を感じているオーナーであれば、一度は試してみてほしいアイテムだ。