都市まるごと「未来都市」を目指す大規模な社会実験
日産自動車と、一般社団法人「スーパーシティAiCT(アイクト)コンソーシアム」は2021年12月22日、「スマートシティ会津若松におけるカーボンニュートラル実現に向けた連携協定」に合意。EVを核とする大規模なエネルギーマネジメントの構築と、再生可能エネルギーの活用方法、EV保有の新たなあり方などをともに探求し、会津若松市が脱炭素都市となるべく、長期的に実証実験を行っていくとのことだ。
10年にわたり「スマートシティ」に取り組んできた会津若松市
福島県会津若松市は東日本大震災後の2011年から、持続可能な街づくりを目指して「スマートシティ計画」を策定し、産官学および国からの支援を受けつつ、各種のプロジェクトを推進してきた。そして2021年、国が主導する「まるごと未来都市」=「スーパーシティ」構想へとステージアップすべく、運用法人として会津若松市内に設立されたのが「スーパーシティAiCTコンソーシアム」だ。
まずは太陽光パネルとEV「日産アリア」を活用して実証実験
日産が「AiCTコンソーシアム」と連携してともに目指すのは、カーボンニュートラルに向けたEV普及、そしてEVによる再生可能エネルギーの最適な活用法と、地域エネルギーの最適化を通じたエネルギーの「地産地消」の推進。さらに規制緩和による新しいビジネスモデルへの挑戦も視野に入っている。
そこでまず、AiCTコンソーシアムの会員企業が入居する、会津若松市内のICTオフィスビル「スマートシティAiCT」へ太陽光パネルを設置するとともに、再生可能エネルギーの蓄電設備として、日産のEV「アリア」5台からなるシステムの検討をスタート。
太陽光から「日産アリア」に充電した電力をスマートシティAiCTへ給電し、再生可能エネルギーの利用率向上と、建屋電力費用の削減を図ることで、EVを活用したエネルギービジネスの有効性を検証する。さらにこれらのEVを活用して、モビリティビジネスとの両立性も検証していくという。
これをモデルケースに長期的には全国に「スマートシティ」を展開
さらに会津若松市内でのEVの使用状況やバッテリー状態をAIで予測し、再生可能エネルギーの発電予測と合わせて、地域エネルギー活用の最適化を検証。長期的には「需要家」(オフィス、店舗、工場、住宅など)ごとの電力の余剰分や不足分をP to P(ピア・トゥ・ピア)で取引し、エネルギーの地産地消を促す実証実験にも取り組む予定とのこと。
日産とAiCTコンソーシアムは、今回の取り組みをほかの都市へのモデルケースとして、将来は全国区へと広げていくことも視野に、連携を強化していくそうだ。