歴代をオマージュした懐古志向のデザインはユーザーの心を掴めなかった
最後にデザイン。スカイラインはつねに時代をリードするセダンであり、多くの世代でデザインは新しさを感じさせたが、R34は歴代車をモチーフにした懐古志向のデザインを選んだ。
もちろん、この考えが悪いわけではなく、アメリカのフォード・マスタングやVWビートルのような成功例もある。ただ、基本デザインだけでなく、当時前後のオーバーハングを切り詰めたデザインが主流になりつつあるなか、プロポーションも時代を感じさせた。つまり、R34は新型でありながら古典的というイメージだったのだ。致命的だったのはスカイラインの熱狂的なファン層(40代以上)にとってR34のデザインは少々若々しすぎた。3代目のケンメリのように、デザイン力でユーザーの心を掴むには至らなかったのだ。
加えて、スカイラインといえば、国産ナンバー1の走りが売りであったが、WRCをベースとした2Lターボ4WDマシンたちの過激なまでの進化に基準車のGTターボでは太刀打ちできず、スカイラインGT-Rで面目を保つ状況。さらに趣味嗜好の多様化で、スポーツクーペ&セダンのマーケットは縮小傾向であったことも追い打ちをかけた。
R34スカイラインは良くも悪くも「20世紀遺産」というべきクルマ
冒頭でも書いたが、初代から脈々と受け継がれてきた伝統のスカイラインはR34ではオワコンとなっていた。ただ、スカイラインには熱烈なファンいる大切なコンテンツであることを日産は承知しており、何とか残したい。それがコンセプトカーXVLのスカイライン化という流れを作ったのではないだろうか。また、基準車が切り捨てられ、GT-Rは生き残った2001年は2台が完全に袂を分かつターニングポイントだったかもしれない。
R34は開発陣が少ない予算の中で知恵を絞り、最高のドライビングプレジャーを具現化するマシンに仕上がった。それは今乗っても強くを感じられる。古臭いけれど味があるといったところか。また、ドライビングボディの考え方は次世代以降のスカイラインに受け継がれており、空力性能をクルマに持ち込むという新たな価値ももたらした。ただ、商品としては成功とはいいがたく、ビジネスライクに新陳代謝された。スカイラインファンにとってはブランドが生き残っただけでも御の字ではないだろうか。R34は良いも悪いも含めて「20世紀遺産」というべきクルマだろう。