シンプルイズベストを極めた9代目
クルマ好き女子の矢田部明子です。今回は、7年ぶりにフルモデルチェンジした、スズキ「新型アルト」の試乗会に行ってきました。試乗会ということで、限られた時間しか乗ることができませんが、そのなかで気付いた「良かったこと&悪かったこと」を、包み隠さずお伝えできればと思います。購入を検討されていらっしゃる方は、ぜひ参考にしてみてください!
「新型アルト」はこんなクルマ!
運転のしやすさ、使い勝手の良さ、経済性の高さなどを兼ね備え、スズキの軽自動車を代表するモデルとして根強い人気のある新型アルト。「気軽、安心、愛着」をコンセプトとしていて、丸みを帯びた柔らかなフォルムのなかに楕円形のモチーフを取り入れるなど、誰もが気軽に安心して乗れる親しみやすいデザインが魅力です。
ほかには、マイルドハイブリッドを搭載したグレードがラインアップされていることや、6エアバッグなどのスズキの予防安全技術「スズキ セーフティサポート」を全車に標準装備されているにも関わらず、車両価格を抑えたというのも注目ポイントとなっています。
【外観】アルトらしさを受け継ぐシンプルなテイスト
大迫力のメッキグリルや切れ上がったライトといった、最近よく見かける流行りのデザインではなく、先代アルトの「懐かしさを感じる昭和感」を良い意味で受け継いだデザインだなと感じました。あえて華飾をせず、シンプルでベーシックなスタイルにすることこそが、アルトユーザーが求めているデザインだと考え、仕立てたそうです。フルモデルチェンジに合わせて12年ぶりにロゴデザインを変えるなど、こだわりがギュッと詰まっています。
丸みを帯びた柔らかなフォルムや、親しみやすさを演出するため、随所に楕円形のモチーフが取り入れられています。ヘッドライトやグリルは丸みを帯びているので、フロントマスクは優しい表情をしています。ハイブリッド車には、メッキのフロントバンパーガーニッシュが装着されるので、少しスタイリッシュな雰囲気に変わります。
右前方に付いている、波平さんのようなアンテナがめちゃくちゃ似合う……オシャレとか高級感ではなく、親しみすいエモいデザインが◎でした。
カラーバリエーションにパステルカラーの設定はなく、ホワイトやシルバーなどのアルトのデザインにしっくりくる色合いがラインアップされています。推しはソフトベージュメタリックとのことで、微妙なニュアンスの色合いを見てほしいとのことでした。
【内装】シンプルながらおしゃれなアクセントが◎
エクステリアと同様に、インテリアにも楕円形をモチーフにしたデザインが取り入れられています。インパネ部分には、5個以上の楕円形が組み込まれていて、隠れミッキーかのごとく探してみるのも楽しいかも♪
シートはデニム柄の生地を使用しているので、車内はカジュアルな雰囲気になっています。
すっきりしていて見やすい、単願メーターが採用されているのもチェックポイント! インテリア全体は、過度な華飾をせずにシンプルで毎日使っても飽きのこないデザインとなっていました。
実用性を重視したユーティリティ
むやみやたらに収納をつけるのではなく、使用頻度の高い収納が厳選されています。まずは、私がとくに気になった前席の収納から見ていきましょう。
運転席&助手席のドリンクホルダーは、ペットボトルだけではなく紙パックも置けます。紙パック愛好者の筆者にとってはかなり嬉しいポイントです。
センターコンソール部分には、箱ティッシュがスッポリ収まるサイズの収納があります。
ひとつ残念と感じたのは、シフトノブ上の収納スペースです。スマホを置くと微妙にはみ出て、シフトチェンジする際に少し手に当たってしまうんです。滑り止めも付いていないので、リップや目薬を置いて運転するとコロコロ滑ってしまうのも気になりました。
続いて後席の収納は、センターコンソール部分にペットボトルが置けるようになっていました。
後席のシートベルトは、カチャッと穴に収納できるようになっています。車内がすっきりして見えるし、シートベルトが絡まるということがないので使い勝手も◎。
荷室は少し狭めなので、沢山荷物を積むのは難しそうです。スーツケースもギリギリ入るかな? という感じでした。
バックドアに手をかけれるようになっているので、身長の低い方でも開け閉めしやすいです。
シートアレンジや、居住性はどうか?
前席は前後にスライド&リクライニングしますが、後席は固定されていて調整はできません。シートは固めですが、ゴツゴツして痛いというわけではないので長時間運転しても疲れなさそうです。前席&後席ともに、開口部が広いので乗り降りしやすいです。前席は158cmの私が座って、こぶし4個弱分くらい頭上に余裕があります。
後席の居住スペースが、コンパクトな見た目からは想像もつかないくらいの広さで驚きました。前席を真ん中までスライドさせた状態で、足元のスペースはこぶし5個分くらい、頭上スペースはこぶし3個分くらいありました。ちなみに後席を倒すと斜めになればギリギリ寝ることができました。下が絨毯素材なので、柔らかくて寝心地は良かったです。
気になる点がひとつ。ラゲッジスペースは、下に敷いてある絨毯がめくれないようにするために、両端をピンで止めてあります。ですが、重い荷物を載せた際など、絨毯が引っ張られてピンが抜けてしまうのが気になりました。毎回抜けて、毎回差し込むというのは少し面倒だなと感じました。
大人3人でも快適な運動性能と高い静粛性にオドロキ
今回のフルモデルチェンジにより、シリーズ初のマイルドハイブリッドモデルが設定されたのが大きな注目ポイントです。WLTCモード燃費は27.7kn/Lを達成し、よりお財布に優しいグレードとなっています。
私が試乗したのはハイブリッドX(2WD)でしたが、大人3人を乗せて走っても発進がスムースで、街乗りではトルクが足らないと感じることはありませんでした。アクセルを踏んでも唸るような音は感じられず、車内も快適に過ごせます。乗り味は、最近の軽自動車の「ゆっくり発進と停止&ロールも緩やか」よりは、若干固めでした。凹凸を超えると、少し突き上げ感も感じるので気になる方もいらっしゃるかもしれません。
前方視界だけではなく、ピラーが細いので左右の視界は良いです。車両感覚が掴みやすい&運転席からボンネットの両端が見えるので、駐車する際は、とても助かりました。
スっと届いて邪魔にならないという、エンジンスタートボタンの位置は◎です。開発の方に伺うと、取り付け位置にはかなりこだわったとのことでした。1日に何度も押す場所なので、最適な場所にあるのは本当に助かります!
コストパフォーマンスが高い新型アルトは魅力的!
価格帯は94万3800円~137万9400円となっていて、軽自動車の車両価格が上がっている傾向があるなか、ハイブリッドモデルのベースグレードが109万円7800円で購入できるのは、かなりコストを抑えているといえそうです。ということで、「新型アルト」についてご紹介させて頂きました! 購入時の参考にしてくださると嬉しいです。
【主要諸元】
試乗グレード:ハイブリッドX(2WD)
全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1525
ホイールベース(mm):2460
エンジン型式:R06D型(直列3気筒DOHC)
総排気量(L):0.657
最高出力(kW/rpm):36(49ps)/6500
最大トルク(N・m/rpm):58(5.9kg・m)/5000
モーター型式:WA04C(直流同期電動機)
モーター最高出力(kW/rpm):1.9(2.6ps)/1500
最大トルク(N・m/rpm):40(4.1kg・m)/100
WLTCモード燃費(km/L):27.7
市街地モード(km/L):24.0
郊外モード(km/L):29.2
高速道路モード(km/L):28.6
JC08モード燃費(km/L):33.1
ブレーキ(前/後):ディスク/リーディング・トレーリング
サスペンション(前/後):マクファーソン・ストラット/トーションビーム
タイヤサイズ:155/65R14
車両価格(税込み):125万9500円