サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

「ジムニー」や初代「RX-7」に海外が注目! 2022年に相場が「爆上がり」しそうなクルマ10台

クラシックカー専門の保険会社「ハガティ」が予言する今年のトレンド

 クラシックカー専門の自動車保険会社として欧米で成長した「ハガティ(Hagerty)」。同社では保険金額の査定のため、クラシックカーの価格と相場について膨大なデータベースを独自に築いていて、彼らの車両評価はオークションやバイヤーにも大きな影響を与えている。

 そんなハガティが「2022年に価格が高騰しそうなコレクターカー10台」を発表した。なかには日本車も2モデル含まれている。国内の相場にすぐ影響はないかもしれないが、海外のバイヤーが虎視眈々と狙うことが予測されるので油断は禁物なのだ。

その1 ディーノ246(1969~74)

 エンツォ時代のフェラーリ最高傑作のひとつでありながら「フェラーリ」とはどこにも書かれていない「ディーノ246」。若くして亡くなったエンツォの愛息、アルフレード・“ディーノ”・フェラーリが生前に提案していた、V6エンジン搭載のミッドシップ・スポーツカーだ。クーペボディの「246GT」が2487台、タルガトップの「246GTS」が1274台生産された。

■1973年式ディーノ246GTS

〇:フェラーリの生んだロードカーのなかでもっとも美しいクルマのひとつで、ドライビングも素晴らしい。

×:もはや安価とは言いがたい価格。「フェラーリではない」との偏見。良い個体を見つけにくい。

新車時価格:1万4500ドル

現在の評価額(#2):36万6000ドル(4200万円)~40万2500ドル(4600万円)

※ハガティの「#2」評価は「素晴らしいが完璧ではない」程度のこと。小さなキズがあり、ローカルなカーショーでは優勝できても国内規模のショーでは優勝できないレベルの個体を示す。以下同。

相場の動き:2016年から2018年にかけてブームが盛り上がり、ディーノの相場は2008年以前の水準の3倍以上になっている。取引は盛んで、異常なほどのプレミア価格がつくことも多い。40~50代の新たな世代のコレクターたちが関心を示していて、今後さらに相場が上がりそうだ。

その2 ポンティアックGTO(1966~67)

 GMが全社的にレース活動を禁止していた暗黒時代、ポンティアックのエンジニアだったジョン・デロリアン(のちの「DMC-12」を生み出した、あのデロリアン)たちは、コンパクトサイズの2代目「テンペスト」をベースにV8エンジンを搭載した「GTO」を開発。当初はオプションパッケージという扱いにしてGM社の内規をすり抜けた。上層部からは年間生産台数を5000台に抑えるよう指示されながらも、初年度に3万2000台以上を売り上げる大ヒットに。「マッスルカー」という新たなジャンルを誕生させた。

■1966年式ポンティアックGTO

〇:60年代マッスルカーの決定版。いくつものボディスタイルとドライブトレインがある。やたらと頑丈。

×:ニセモノが出回っているので注意。錆びやすい。レアなオプションは高額になりがち。

新車時価格:3700ドル

現在の評価額(#2):10万ドル(1150万円)~12万9000ドル(1480万円)

相場の動き:GTOのなかでも1966~67年式は、そのルックスと控えめな価格から、これから高く評価される可能性がある。とくにミレニアル世代(1981年以降生まれ)に人気がある。

その3 ポルシェ968(1992~95)

 ポルシェ「924」、「944」と続いてきた、水冷直列4気筒エンジンと「トランスアクスル」を用いたFRレイアウトの系譜を受け継いだスポーツカーが「968」。理想的な重量配分を実現して長年にわたり「ベスト・ハンドリング・カー」の名をほしいままにしてきた。ボディはクーペとコンバーチブル、トランスミッションは6速MTと4速ティプトロニックATが用意され、4年間で1万2776台が生産された。

■1992年式ポルシェ968クーペ

〇:美しいバランスのハンドリング。実用的なハッチバックでデイリードライブに最適。高速道路での優れた燃費性能。

×:生産台数が少ない。ポルシェのパーツは高価。

新車時価格:3万9850ドル

現在の評価額(#2):3万8000ドル(440万円)~5万1500ドル(590万円)

相場の動き:ポルシェ968はこれまでポルシェ車のなかでも過小評価されてきたが、2015年から高く評価され始めている。2016年以降、クーペの評価額は139%上昇しており、これはすべてのポルシェ製クーペのなかで一番高い上昇率。まだまだ成長の余地があると考えられる。

その4 ランドローバー・ディフェンダー(1983~1997)

 イギリス本国ではクルマの状態さえ気にしなければ、ランドローバー・ディフェンダーを今でも比較的安く手に入れることができる。ところが大西洋を渡ったアメリカではエキゾチックな存在として人気が出てきて、コレクター市場では高騰する一方となっている。2ドアの「90」が8万ドル台(900万円以上)、希少な4ドアの「110ワゴン」は10万ドル(1150万円)をはるかに超えることも珍しくない。

■1991年式ランドローバー・ディフェンダー90

〇:動物学者マーリン・パーキンスがキリンを追っかけるとき乗っていたクルマ。格好いいしこれからもそうだろう。パーツもクラブも豊富。

×:北米仕様は高価。並行輸入品はクオリティも価格もまちまち。せっかちな人には向かないクルマ。

新車時価格:2万7405ドル

現在の評価額(#2):6万1500ドル(700万円)~7万7500ドル(890万円)

相場の動き:この世代のディフェンダーはヨーロッパでも意外なほど人気があり、北米仕様を除いたモデルについては、2016年から47%も価値が上がっている。今のうちに手に入れておきたい。

その5 マツダ・サバンナRX-7(1979~1985)

 世界で唯一「ロータリーエンジン」に挑戦し続けたマツダ。1979年に登場した「サバンナRX-7」は低くシャープなノーズの下にキャブレター式1146ccツインローターが搭載され、アペックスシールの不具合や燃費問題をクリアして、7000rpmまで気持ちよく回るエンジンが多くのスポーツカー好きを魅了した。初代の生産台数47万1009台のうち、アメリカ市場での販売台数が37万7000台を占めている。

■1983年式マツダ・サバンナRX-7 GS

〇:ユニークなロータリーエンジンの高回転の興奮。妥協のないハンドリング。優れたドライビングポジション。シンプルな操作性。日常的なケアをすれば信頼性も高い。

×:錆びやすい。オイルや燃料が漏れやすい。事故を起こすと危険。

新車時価格:1万600ドル

現在の評価額(#2):1万7500ドル(200万円)~2万7000ドル(309万円)

相場の動き:初代サバンナRX-7の相場は2016年から136%上昇しているが、それでもまだ買いやすい価格帯で40歳以下の若い世代が注目している。初代RX-7の価値が「ダットサン280ZX」に追いつく日も近いと予想される。

その6 メルセデスベンツ230SL(1963~1967)

 メルセデス・ベンツの2代目「W113」型「SL」は、優秀だが高価な「300SL」と、派手だが欠点も多かった「190SL」に置き換わるべくデビューした。スポーティさや軽快さでは前のモデルに一歩譲るものの、本質的なスポーツ性を保ちつつラグジュアリーさと快適さを兼ね備えることに成功した。当時メルセデス・ベンツの技術責任者だったフリッツ・ナリンガーはこれを「モータリング・ハピネス」と呼び、その精神は以降のSLシリーズに引き継がれていった。

■1965年式メルセデス•ベンツ230SL

〇:思わず足を止めてしまうルックス。高級感があって流行に左右されない。乗り心地も快適。

×:スポーツカーというよりはクルーザー。パーツは入手可能だが高価。きちんとレストアするにはかなりのコストがかかる。

新車時価格:7500ドル

現在の評価額(#2):8万500ドル(920万円)~10万8500ドル(1240万円)

相場の動き:2016年以降、「190SL」の価値が下がる一方で「230SL」の価値は22%上昇している。ただし過去10年間で約800台がヨーロッパに出戻っていて、他地域より相場がさらに約30%高くなっている点に注意。

その7 ボルボ245(1975~1993)

 1975年にデビューした「ボルボ240」は安全性を考慮した頑丈なクルマで、2ドアセダンの「242」、4ドアセダンの「244」、5ドアワゴンの「245」がラインアップされた。245はつい最近まで、マニアからさえも「ただの中古車」としか思われていなかった。だが、安価でシンプルな構造の245は、きれいな個体を1万ドル(115万円)で見つけて思いっきり楽しむことができる。パーツが豊富なのも魅力だ。

■1983式ボルボ245

〇:完全に実用的。比類ない耐久性。DIYで作業しやすくパーツ交換も簡単。

×:ヒーターファンはよく壊れるのに交換しづらい。1987年以前はワイヤーハーネスが壊れやすい。

新車時価格:1万3500ドル

現在の評価額(#2):1万5500ドル(180万円)~2万1500ドル(250万円)

相場の動き:2018年から10%上昇しているが、これは主に40歳以下のミレニアル世代とX世代が積極的に買っているのが原因。メルセデス・ベンツ「300TD」が手に入れにくい一方で、ボルボはわずか3分の1の価格で買えるからだ。

その8 キャデラック・ドゥビル(1965~1970)

 1965年に3代目となった「キャデラック・ドゥビル」はテールフィンのデザインを一新し、大幅に軽量化。キャデラックのクルマは1950年代後半の象徴的なフィンにコレクターが群がって、1960年代後半のよりモダンで使い勝手の良いモデルは、これまでほとんど顧みられなかった。そのため、車重あたりの価格を考えればお得に手に入れて、多くの人の目を引くことができる。

■1967年式キャデラック・ドゥビル・コンバーチブル

〇:デトロイト・スタイルを大したことのない金額で入手できる。誰もがあなたと一緒にディナーに行きたくなる。オイルショック前の最期の黄金時代。

×:車内のスペースに不満を感じるはず。ガス食らい。スポーティとは言いがたい。

新車時価格:5600ドル

現在の評価額(#2):2万8500ドル(330万円)~3万8500ドル(440万円)

相場の動き:過去5年間で20%値上がりしているが、「エルドラド」や「リンカーン・コンチネンタル」に比べればまだまだお買い得である。

その9 スズキ・サムライ(1985~1995)

「スズキ・ジムニー」は、1985年から北米に「サムライ」の名で輸出されるようになった。アメリカではメタルトップと幌のコンバーチブルのふたつのボディが販売されたが、当時は後者の方が人気があったので、今でも手に入れやすい。ジムニーは1995年で北米での販売を終え、今に至るも正規の輸出はされていないままだが、その一方でアメリカの「サムライ」ファンは増えている。今後も価格は上昇し続けるだろう。

■1986年式スズキ・サムライ・コンバーチブル

〇:見ているだけで笑顔になれる。場所をとらず、燃費もよし。パーツが豊富。どこにでも行ける。

×:純正パーツが入手しにくい。速いと言えるのは崖を登るときだけ。岩場を走り抜けた後は体がガクガクになる。

新車時価格:6950ドル

現在の評価額(#2):1万ドル(115万円)~1万4500ドル(166万円)

相場の動き:初代「トヨタ・ハイラックスサーフ」を安く買えなかった人でも、よく見かける「サムライ」なら手に入れられる。現在、保険見積もりを依頼してくる人の70%は50歳以下の世代で、関心は高まる一方だ。

その10 テスラ・ロードスター(2008~2012)

 イーロン・マスク率いる「テスラ」が最初に販売した「テスラ・ロードスター」は、リチウムイオン電池を採用した最初の量産EVであり、2018年にはイーロンの経営する「スペースX」社がロケットに取りつけて宇宙に打ち上げたことでも知られる。ロータスのDNAを宿してドライブの楽しさを追求したEVという側面も見逃せない。今後、歴史的な意義も含めて評価が上がっていくと考えられる。

■2010年式テスラ・ロードスター

〇:EVがさらに普及するとともに、このクルマの重要性は増していくだろう。

×:快適性と人間工学はロータス並み。モーター音と風切り音しか音がしない。航続距離への不安。ICE(内燃機関)原理主義者に批判される。

新車時価格:13万450ドル

現在の評価額(#2):9万7000ドル(1110万円)~11万5000ドル(1320万円)

相場の動き:「テスラ・ロードスター」はオークションでよく見られるようになりつつあり、2021年にはこれまでのすべての年の合計よりも多い12台が落札された。アップグレードされた「R80 3.0」バッテリーを搭載した個体は15%のプレミアムがつくはずで、「シグネチャー100」エディションは50%のアップとなる。

モバイルバージョンを終了