WRXシリーズでは2代目モデルで大幅に高性能化が進む
2代目インプレッサはWRXシリーズに6速MTやブレンボブレーキなどを装備し戦闘力をアップさせたほか、涙目と呼ばれる中期型以降ではセンターデフにオートモードを備えるDCCD(ドライバーズ・コントロール・センター・デフ)を装備するなど、ランエボに負けじと電子制御化も進んだ。
ベースモデルもボディ剛性の向上により、安全性も磨きをかけていた点にも注目された。しかし、スポーツワゴンというボディ形状は2代目までとなり、3代目以降はより軽快感のあるハッチバックスタイルへと変更されている。
その3代目は前述のとおり、前期モデルまで車名にインプレッサの名称を冠していた。当初は5ドアモデルのみであったが、のちにベースモデルにはNAのみながら4セダンも設定。WRXシリーズにも後期型で4ドアモデルが設定された。WRX系はSTIのみの設定としながらもATモデルのA-Lineの設定をはじめ、ベースモデルにもS-GT、2.0GTといったターボモデルの設定が存在した最後のモデルだ。
直噴化やHVモデルの登場など新世代BOXERエンジンを採用
続く2011年には4代目インプレッサが登場。2014年にVA型WRXシリーズが登場することを見越してか、ターボモデルは廃止され4ドアにはG4、5ドアにもスポーツのサブネームが与えられた。それまでの1.5Lモデルは「とにかく走らない!」と言われるほど、登坂路では幻滅するほどのアンダーパワーだったが、新世代BOXERへ進化した4代目では1.6Lへと排気量もアップ。
そのパワー感はたった100ccとは思えないほどのパワーアップを体感。税制面では2.0Lと自動車税は同額となるものの、それまでの1.5Lモデルのイメージは完全に払しょくされた。さらに運転支援システム「アイサイト」も多くのモデルに設定。
第2世代となるアイサイトVer.2は、当時としては制御も他社とは比べ物にならないほど、一歩も二歩も先を行っていたことが拍車をかけ、人気モデルとなった。
STI Sportが新設定されるなどユーザーの間口はさらに広がった
そして2016年には現行型へフルモデルチェンジを実施。4代目同様G4とスポーツの2本立てとしながらも、スバル車で最初に新世代プラットフォーム「SGP=スバル・グローバル・プラットフォーム」を採用する。その走りは自動車メディア業界でも多くのジャーナリストから高評価を得たほか、スバルとして2回目の日本カー・オブ・ザ・イヤーの大賞を受賞した。
2019年には大幅改良モデルと呼ばれるマイナーチェンジを実施し、アイサイトはツーリングアシストへと進化。3代目インプレッサWRX STIからインプレッサの文字が消えた2010年から、ちょうど10年目となる2020年にはインプレッサにSTI Sportが登場。WRXシリーズは独立した車種となり、スバルのスポーツフラッグシップへ君臨し続ける一方で、インプレッサシリーズに設定されたSTI SportはSTIの走りやスピリッツを感じるためのエントリーモデルとして、ユーザーに新たな入口を解放したことはじつに感慨深いものがある。
インプレッサとWRXは、初代のデビュー時にはまったく思いもよらなかった別の道を歩むこととなったが、それぞれのキャラクターや持ち味を生かした名車としてこれからも多くの人に愛されるモデルであることは間違えないだろう。