アウトドアでゆったりリラックスする大人のひと時
キャンプでの楽しみのひとつといえば、大自然のなかでゆったり味わうお酒。それも秋から冬にかけての寒いなか、サイトの設営を終えてリラックスモードに入ってから、お酒で体を内側からほぐしてホッとひと息つく時間は格別なものだ。
ふだん家で飲みなれたお酒もいいけれど、日常とはちょっと趣向を変えて、「ホットウイスキー」で豊かな香りを楽しんでみてはいかがだろうか。仙台で幅広いウイスキーファンから支持されているバー「Andy(アンディ)」の安藤さんに、アウトドアで手軽にホットウイスキーを楽しむ方法とアレンジ、それに初心者にもおすすめの銘柄を教えてもらった。
なお言うまでもないが、お酒は20歳を超えてから。飲酒運転や酒気帯び運転はもちろん違法だし、泥酔して周りに迷惑をかけるのも論外。成熟した大人のたしなみとして楽しみたい。
魔法瓶にあらかじめ入れておく「前割り」をお試しあれ
「ホットウイスキー」とは、つまりはウイスキーのお湯割りのことであり、基本的に難しいことは何もない。お湯で割ることでウイスキーの香りとアルコールが立つので、水割りよりも薄くてOK。
目安としては、「ウイスキー1:熱湯5」くらいが飲みやすい。グラス1杯あたりに換算すると「ウイスキー30cc:熱湯150cc」となる。計量する道具がなければ、グラスの底に指1本の幅程度(ワンフィンガー)のウイスキーを注いで、熱湯を8分目まで入れる程度だ。あとは好みで濃くしていけばいいが、「ウイスキー1:熱湯4」までで十分とのこと。
寒い屋外でお湯割りを作る場合、グラスやマグカップなどにあらかじめお湯を入れて温めておく方がベター。しかし、もっと手軽かつ美味しくホットウイスキーをキャンプで楽しめる方法がある。それが「前割り」だ。
いわゆる「サーモス(これは商標)」のような「魔法瓶」に、キャンプ当日の朝か前日のうちに、ぐらぐらに煮立った熱湯とウイスキーをあらかじめ入れフタをしておき、そのまま現地に持っていくだけ。密封されているのでアルコールも香りも逃げず、それでいてウイスキーの風味からカドが取れてまろやかになるというわけである。
キャンプの現場にてすぐ温まることができるのも嬉しいポイント。ぜひ一度、騙されたと思って試してみていただきたい。
初心者にもオススメの「世界5大ウイスキー」
せっかくキャンプで非日常の時間を楽しむのなら、ウイスキーも、いつもより「ちょっと贅沢」なものを選んでみるのもいいだろう。ウイスキーの産地として有名な、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、それに日本を「世界5大ウイスキー」と呼ぶ。それぞれに歴史や風土を反映した特徴があり、さらに製法も銘柄も多彩に広がっているのがウイスキーの奥深いところであるが、今回はボトル1本あたり5000円程度までと入手しやすい、初心者にも楽しみやすいウイスキーを5種類、バー「Andy」の安藤さんにセレクトしてもらった。
■スコットランド:ボウモア12年
イギリスのスコットランド北西部に浮かぶ「アイラ島」は、スコッチウイスキーの産地として有名な聖地で、「ボウモア」は同島で最古の蒸溜所。燻製香と熟成香が特徴的な、ボウモアのスモーキーな風味はキャンプ場の雰囲気にマッチするし、焚き火を眺めながら飲むのもいいだろう。
■アイルランド:ブラックブッシュ
アイルランドの「ブッシュミルズ」蒸溜所は、1608年に創業した現存最古のウイスキー蒸溜所。「ブラックブッシュ」は、蒸溜プロセスを3回行うアイリッシュウイスキーならではのスムースな飲み口で、ウイスキー慣れしていない人でも飲みやすい。また、シェリー樽で熟成させているため、少しやわらかく甘やかな風味でスイーツとも相性が良い。
■カナダ:カナディアンクラブ
五大湖地域にあるカナダのオンタリオ州ウィンザーは豊かな穀倉地帯を背景とし、川の向かいはアメリカの大都市デトロイトで文化的にも恵まれた町だ。ここで蒸溜される「カナディアンクラブ」は、ライ麦を主原料としたライトな味わいでクセがないため、ウイスキー入門者でも飲みやすい。
■アメリカ:ワイルドターキー8年
野趣あふれるネーミングもアウトドアにふさわしい「ワイルドターキー」は、バーボンウイスキーを代表する銘柄のひとつ。なかでも「8年」はアルコール度数も50.5%と通常よりやや強めながら、熟成もしっかりしていて木の温もりが感じられる。
■日本:マルスモルテージ越百
わが国でも有数の長い歴史をもつ「マルスウイスキー」は、現在は長野県の蒸溜所でつくられている銘柄。「Andy」安藤さんが味でおすすめと推すのがこちらの「越百(こすも)」で、焙煎したコーヒー豆のような風味のある甘口のウイスキーだ。ホットウイスキーで存分に楽しんでみてほしい。