サーキット走行やタイトなスポーツカーには不向き
しかし、本格的なサーキット走行の場面となると、空気バネ特有のふんわりしたフィーリングが適しているかは微妙。サーキット走行に対応すると謳うエアサスもあるが、部品点数も多く、トラブルの起きる可能性もあるので、現在のところスポーツ走行で普及しているとは言えない。
また、車内のどこかにエアコンプレッサーを取り付けなければならないので、スポーツタイプのクルマだと貴重な収納スペースのトランクをエアコンプレッサーが占めてしまう、なんてこともある。
「走れるエアサス」を目指して、車高調にエアサスを組み合わせた製品もある。通常走行時は車高調としてコイルスプリングで車体を支えるので、サーキット走行も可能。段差を越えるときだけエアバッグに空気を入れ、車高を上げる仕組みだ。フェラーリやランボルギーニなどの高級車を中心に、アフターのサスペンションとして人気があるものだ。
こちらはエアサスというよりは緊急回避的な車高アップの使い方で、普段はエアを抜いた車高がデフォルト。緊急時にエアサスで車高アップさせるというものだ。車高を上げたり下げたり、調整しながらの日常走行は不可なのだ。それでも、いざ段差に直面したときに、車高を上げられるメリットは大きい。
「エアサス=壊れやすい」は過去のお話
ならば、みんなこのエアサスを車高調に装備すれば、普段は車高調で、やばいときだけ車高を上げられる! となるが、問題はサスペンションストロークの長さ。エアサスのエアバッグが入る分、車高調自体を短くしなければならない。そうなるとサスペンション自体のストローク量が短くなってしまうので、タイヤが路面から離れやすいというデメリットが生じる。これもまたスポーツ走行には微妙。普段乗りでも路面のうねりや段差でタイヤが浮きやすくなり、不安定になってしまいがちなのだ。
これまでエアサスというと50万円以上の高額なものが多かったが、近年は30万円ほどの手の届きやすい価格の商品も増えてきた。また、その信頼性も過去に比べれば圧倒的に高まっている。サーキットは走らないよ、というならエアサスを選ぶのもひとつの方法だ。