走らせるととても良かったアヴァンシア
一方で“大人たちの官能を揺さぶる4ドアクラブデッキ”を謳ったホンダ・アヴァンシア(1999年)も、良さが理解されきれなかったクルマだったかもしれない。
登場時にPL(プロジェクト・リーダー)のHさんから「アルファ156スポーツワゴンみたいでしょ?」と言われ、思わず言葉を詰まらせたことはここだけの話……。だが、セダンよりやや高い着座位置で走りも静かで滑らかな、走らせるといいクルマだった。
同じホンダでも、2004年に登場したエディックスは、1世代で終わってしまったことが惜しまれたクルマだった。
ユニークだったのは3×2(スリー・バイ・ツー)の前後とも横3座席のシート配置としていた点。そのために全幅は1795mmとなっていたものの、俯瞰で見てシートをV字に配置した楽しげなコンセプトは理解されないまま終わってしまったということか。
デザインも機能も日本車離れしたピープルムーバー
日産ティーノ(1998年)もフロント2+1シートで、2列6名乗りを可能にしたピープルムーバーだった。
しかも後席は欧州車のように3脚が個別に脱着可能とし、デザインも機能も日本車離れしたムードのクルマだった。全幅は1760mmで、今ならば受け入れられたかもしれない。
広々とした室内空間とオットリとした乗り味がよかったビスタ・アルデオ
そのほかにも、ふたたびトヨタ車に話題をもっていくと、ビスタ・アルデオ(1998年)、初代ラウム(1997年)、ファンカーゴ(1999年)なども、なくなってしまったのが惜しまれるクルマたちだ。とくにビスタ・アルデオは、1515mmとやや全高を高くとったワゴンタイプのクルマで、清々、広々とした室内空間とオットリとした乗り味がよかった。
ラウム、ファンカーゴの2台も、コンパクトなボディサイズながら、床が低く広い使い勝手のいい室内空間を持っていて、実用前提にこういうクルマを1台持っていたら便利だろう……と思わせられるクルマだった。