ランクル79を愛するRCクリエーターのヨンクライフに密着
愛車をスケールダウンした、リアルなラジコンやミニカーが欲しい。一度はそんなことを考えたことがある人も多いと思うが、ボディカラーやグレード、カスタマイズ箇所までの完コピはこの上なく困難である。しかし、そんな夢を実現させてしまったクリエーターがココにいる。ヘコみやキズといった細部まで、スケールダウンしたラジコンで忠実に再現。RCカーで究極のリアルを追及する「ランドクルーザー79」オーナーのヨンクライフに密着した。
初出:ヨンクスタイルvol.4(※一部加筆修正)
2万人のフォロワーを抱えるRCクリエーターの
こだわりとは
ランドクルーザー・ピックアップ(GRJ79)版を愛車に持つ“-taka79-さん”こと中島さんは、ステッカーやワンオフパーツ、さらにはボディのキズまで実車を忠実に再現している。クローラーラジコンのボディをアルミ板でハンドメイドし、インスタグラムにアップ。いまや2万人を超えるフォロワーを抱え、世界中から驚きの声が寄せられている。キッカケは約13年前、K-5ブレイザーに乗っていたころ。愛息と公園に行った際に砂場や木の根を見て、ラジコンで遊んでみたくなった。そこで既製品ボディをベースに、愛車に近づけるハンドメイドを始めたそうだ。
「その後はFJクルーザーに乗り換え、実車のカスタムも進んだので木製のオリジナルボディを作りました。でも、愛車はクロカンを走ってヘコむのにラジコンは横転してもヘコまないんですよね(笑)」
この違和感を解消するアイディアこそ、ボディのアルミ化。3カ月かけて木とアルミ板のハイブリッド仕様を製作したが、2年前にオールアルミ製の初号機(SJ30ジムニー)を完成。現在のスタイルに辿り着いた。いまでは早ければ24時間程度で作り上げてしまうという。その突出したクリエイティビティからどんなバックグラウンドなのか気になるが、本業は美容師。長年地域の人々に愛されるサロンを経営し、店舗に併設する自宅の一角で空き時間を利用してラジコン製作に没頭している。
「自分の愛車がヘコんだらラジコンも凹ませたいし、ラジコンがヘコんだら実車もヘコませないと……と、ホンキで思いますよ。今後はさらに完成度を上げるのが目標。フレームも実車さながらにしたいし、ボク自身もコピーしていきたいですね」
いまは“愛車と同じ仕様のラジコンがほしい”という声もあり、オーダーメイドにも挑戦。そのクオリティがフォロワーに評価され、すでに100台以上を製作した。究極のリアルを追及するという挑戦は果てしない。経験と技術、発想力がクオリティを高め、さらにファンを驚かせる作品をSNSで発信していくことだろう。
ヘビーデューティさを極めたリアルな愛車
「ランクル79」のこだわりポイント
ランクル79に乗り始めてからオフロード走行を楽しむようになった中島さん。愛車の足まわりはキープスラントの3インチアップコイルを選択し、315/75R16のトーヨー・オープンカントリーM/Tを装着。このバランスをラジコンでも演出している。
リヤまわりにはパイプワークが駆使され個性的なバックシャン。ジェリ缶ホルダーにはハイリフトジャッキも固定できるようにしているが、ランクル80の背面タイヤのように開閉できる仕組みになっている。
また、運転席側はパイプ製のドアやガード類を装着。一方、時々ノーマルが恋しくなるからという理由で、助手席側はノーマルの姿を程よく残すというアシンメトリーなカスタムを実施している。
実車とラジコンを同期させる遊びゴコロを披露
“究極のリアル”への探求は尽きない。実車にラジコンを積めば、ラジコンにはミニカーを積む。愛車をカスタムしたらラジコンも。ラジコンが先に凹んだら実車も。徹底したこだわり。
装着したいランクルパーツは自分で作る
「個性が湧き出る感じにしたい」という想いから、パーツの自作にも積極的。例えばパイプドアはロッククローリング競技車のようなデザインだが、雨の侵入を防ぐカバーも製作。DIYのために溶接機とパイプベンダーも購入している。
“映える”ためのテクも抜かりなし
文頭の写真は、中島さんのアレンジでプロカメラマンが撮影したもの。実車と1/8スケールを同じ大きさで描写するのは難しいが、手際良く配置してSNS用に撮影。ちなみに仲間を集めてロッククローリングのラジコン競技も主催しているそうだ。
ランドクルーザー79 SPECIFICATIONS
□ホイール:ジムライン・タイプ2(16×8.0J)
□タイヤ:トーヨー・オープンカントリーM/T(315/75R)
□足まわり:ショックアブソーバ:プロコンプ、リーフスプリング:キープスラント
□エクステリア:純正オプション・フロントグリル&シュノーケル、ロックスライダー・ベッドラック、ワンオフ運転席側パイプドア+パイプフェンダー+コーナーガード+ジェリ缶ホルダー、T-MAX自作ウインチ
愛用の工具でロッククローラーをリアルに
描き出す中島流ハンドメイド術
製作に使用する道具は意外と少ない。ボディの材料となるアルミ板とそれをカットする道具、プレスラインを作る棒など。実車の写真をスマホで確認しながらテンポ良く作成していく。写真はデリカD:5のボディ製作時の様子だ。
決して広いとは言えない工房にはガレージを再現したジオラマも設置され、奥のD21テラノは完成したばかりの作品で、まもなく依頼主の元へと旅立つ。FJクルーザーに乗っていたときに初めてフルオリジナルで製作した木製ボディ。中島サンがリアルを追及するキッカケになった作品だ。
自身の愛車も改造箇所を忠実に
目標は愛車のラジコンをもっと実車に近づけること。現在でも十分なクオリティだが、まだまだ納得していないと話す。今後はフレームや足まわりをよりリアルにする予定。
リアルな作品たち!
気になった車種はすぐ製作して遊ぶのが中島流。話題のランクル300は、デビューしてすぐに製作。三菱ジープは自身が憧れる車種のひとつだ。各車両の造形からプレスラインに至るまで忠実に再現され、まるで実車が本当に河原を走っているように見える。
オーナー:中島たかひろサン(群馬県)