「つぶザラ路面」でも圧倒的に静かにスムースに走れる
このほかにも、北米向けの新型車、「CX-50」用に開発されてきた「マツダインテリジェントドライブセレクト」=「Miドライブ」の採用、「フィールドジャーニー」専用のわかりやすいオフロードモード、GVCスポーツモードの追加など、新たなトピックは数多いのだが、そろそろ新型CX-5の試乗に移りたい。乗ったのは、2.2Lディーゼルターボエンジン、200ps/450N・mユニット+6速ATを搭載する「CX-5 XDスポーツアピアランス(FF)」である。
例によって、トルキーなディーゼルターボエンジンがもたらす濃厚な加速フィールはCX-5の大きな魅力となるのだが、2WDであればディーゼルターボらしからぬエンジンの静かさ、スムースさを、軽やかなドライブフィールとともに味わわせてくれる。そして、荒れた路面での挙動の落ち着き感、フラット感の進化、マツダが言うところの「つぶザラ路面」での高周波ロードノイズと振動の少なさ、さらにはアクセルのオン/オフによるピッチ方向の挙動変化の少なさをまずは実感。一段と上質で心地よい乗り味を示してくれたのだ。
そして全般的なロードノイズの低減も明らか(直前に旧タイプに試乗している)。そして首都高速の段差、凸凹路面におけるタイヤの当たりは極めてマイルドで、振動、ショック、ノイズが劇的に抑えられ、いつもの(大黒ふ頭PAの進入路)ゼブラゾーンの路面を、ブレーキングによる姿勢安定化制御が組み込まれた「GVC Plus」の裏方的な(挙動収束性のサポート)効果もあって、それと気づかせないほどの快適感のまま走り抜けられたほどである。
ビッグマイナーチェンジが施された新型CX-5を結論づければ、エクステリアの上級感、高級感が増し(とくにエクスクルーシブモードとスポーツアピアランス)、快適性、操縦性がワンランク向上したところが見どころだ。個人的には、シートの横揺れを抑えたことによる、行動半径の広いCX-5のユーザーにとって嬉しいロングドライブでの疲労感の低減がことさら好ましいと思えたのも本当だ。
たゆまず進化し続けるCX-5の買い時は?
マツダ車は毎年マイナーチェンジを行うから、買うタイミングが難しいとも言われるが、間違いなくCX-5はこの最新型が待ったなしに買いである。もっとも、周囲を見渡したとき、ナビ画面の小ささや3連メーター周りのクラシックなデザインは依然、そのまま。先進感という意味ではやや物足りなくも感じるが、マツダとしては走りの進化、熟成こそ、最重要項目ということなのだろう……。
ところで、新装備となる「Miドライブ」についての報告がないじゃないか? という声が聞こえてきそうだが、この「スカイアクティブD」=クリーンディーゼルの「CX-5 XDスポーツアピアランス」モデルには設定がないからだ(XDではフィールドジャーニー以外に設定なし、という意味)。
開発陣に聞けば、「ディーゼル車はノーマルモードでベストバランスだからMiドライブは不要」ということだった。トルクに余裕あるディーゼル車より、ガソリン車のほうにより効果が期待できるということでもありそうだ。なお、Miドライブが備わるのはガソリン車(スポーツモード付き)、およびフィールドジャーニーのディーゼル車(オフロードモード付き)、ガソリン車のフィールドジャーニー(スポーツモード&オフロードモード付き)となる。
つまり、もっとも多彩なモードを持つのは、ガソリン車のフィールドジャーニーということになる。そのガソリン車のフィールドジャーニーの詳細、試乗記については、別稿で紹介したい。なお、今回のビッグマイナーチェンジを機に、2.5Lガソリンターボモデル=「25T」は消滅している。
CX-5 XDスポーツアピアランスのスペック
■CX-5 XD Sports Appearance(2WD)主要諸元
〇全長×全幅×全高:4575mm×1845mm×1690mm
〇ホイールベース:2700mm
〇車両重量:1650kg
〇乗車定員:5名
〇最小回転半径:5.5m
〇エンジン種類:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
〇総排気量:2188cc
〇最高出力:147kW(200ps)/4000rpm
〇最大トルク:450N・m/2000mm
〇燃料タンク容量:56L
〇トランスミッション:6速AT
〇燃料消費率(WLTCモード):17.4km/L
〇サスペンション 前/後:マクファーソンストラット/マルチリンク
〇ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
〇タイヤ 前・後:225/55R19
〇車両本体価格:357万5000円