MT車の儀式その3:「クラッチを切ってエンジン始動」
前述した通りクラッチペダルを踏んでいなければエンジンの動力が伝達されている状態なので、仮にギヤをどこかのポジションに入ったままエンジンをかけると、クルマが「ドンッ!」と動いてしまい極めて危険だ(※エンジンストールするのですぐに止まるがクルマの大きさによっては数10cm程度動いてしまう)。それによる事故を防ぐためクラッチペダルを踏み、動力が伝わらないようにしてから始動するのがセオリー。
もっとも最近のMT車はクラッチペダルにスイッチがあり、ペダルを奥まで踏み込まないとエンジンがかからない仕組みになっている。「それならギヤをニュートラルで駐車すれば?」と思った人も多いだろうが、確かにサイドブレーキを引いたうえで、ギヤはニュートラルのままでも基本的には問題ない。
ただし停めた場所がそれなりに傾斜のついた場所で、サイドブレーキの効きが甘かったりすると、クルマの重さに負けて動き出してしまうケースがある。それを防ぐには、基本的にローギヤを入れておき、エンジンの抵抗を利用してクルマを動かないようにするのが効果的なのだ(下り坂などではバックギヤ)。
まとめ:MT車乗りは信号待ちでも気が抜けない……
最後は信号待ちなどの短い停車時に、ギヤを入れて待つかニュートラルで待つか問題がある。すぐスタートしたいがため1速に入れてクラッチを踏んだまま待つ人も多いが、左足の疲労やクラッチのレリーズベアリングなどの負担を考慮すると、ニュートラルでクラッチペダルから足を離し、ブレーキを踏んで待つのがベターだと思われる。
0.1秒でも早く動きたいレースのスタンディングスタートならいざ知らず、街乗りならドライバーとクルマを労わるほうがよほど大切だ。