1世代前の型落ち中古モデルなら楽しく賢く乗れる!
何を隠そう(といっても、ぜんぜん隠してもいないのだが)、筆者の今の自分の足グルマは、「チンク」こと「フィアット500」である。中古車で見つけた個体で、「パンナ」という名の限定車として発売されたクルマだった。ベージュのボディ色とブラウンのフラウ社製(!)本革シートの組み合わせは、カタログにないトクベツな仕様だ。
2020年には国内登録が5万台に達したチンクのなかでも、同じ色(名義違いで同色の限定車が複数あった)のチンクに街ですれ違うのは年にせいぜい3、4回(“数回”よりも少ない)。モノトーンが主流の今の日本のクルマ社会では、駐車場のたくさんのクルマの列のなかで色で見つけやすい。ただし背の高いSUV、ミニバンに挟まれるとその限りではないが……。
言いたいことは、クルマ選びは人それぞれのまったく自由ではあるが、どうせなら、楽しく賢いクルマ選びをしてみてはいかがでしょうか? ということ。まったく国産車を否定する訳ではなく、筆者自身、国産車でも自分で持って乗りたいクルマは新車も旧車も山ほどある。だが、輸入車、それもラテン系というか“イタフラ系”などと呼ばれているクルマの、それもひとつ前の型落ち程度の世代の個体なら、値段もこなれている上、おしなべてほぼ現代的なスペック、信頼性をもち、実用に供するとしても大きな心配はいらないのではないか……というわけだ。そこでザッとではあるが、そんな車種の具体例を挙げてみたい。
溌溂としたスタイリングのアルファロメオ
まずイタフラのイタリア車からいくと、ブランドでは「アルファロメオ」、「フィアット」などがある。アルファロメオなら「ジュリエッタ」、「ミト」などが候補だ。ジュリエッタは最新の「ジュリア」やSUVの「ステルヴィオ」の登場の陰で(?)フェードアウトしたモデルだが、VWゴルフなどと同じCセグメントのモデルで、実用性、扱いやすさ、快適性のバランスポイントの高さは見逃せないところ。
回すと快感のエンジンや、スウッ! と足を伸縮させてしなやかにコーナリングするサマはジュリエッタならでは。それと何といってもアルファロメオらしい溌剌としたスタイリングは、犬の散歩中に街なかを駆け抜けていくのを見かけると、遠くからでもハッとさせられるほどの色気があり、それは今でも変わらない。
アルファロメオではもう1台、ミトがあるが、ジュリエッタよりもコンパクトで、走りも雰囲気もより若々しいところが特徴だ。
身近なデイリーカーとして最高なフィアット500
イタリア車では「フィアット500」も外せない。おそらく初期型から中古車でもタマ数は豊富なはずだが、(自分で乗っていながら言うのも口はばったいが、とくに2気筒のツインエアの場合)普段使いで近所のコンビニへ乗っていくだけでも退屈しないヴィヴィッドな走りの手応え、ずっと眺めていてもまったく飽きないスタイルなどがこのクルマのチャームポイント。ソフトトップの500Cはさらに贅沢なコンパクトカーだ。