30年の歴史に幕を閉じた「EJ20」搭載車の狙い目とは
惜しまれつつ終焉を迎えたスバルの名機「EJ20型」ターボエンジン(以下、ターボを割愛)。高回転域まで気持ちよく吹き上がる回転フィールと、炸裂する圧倒的なパワーが魅力のパワーユニットだ。環境性能こそ現行モデルには及ばないものの、その官能的な気持ち良さこそEJ20最大の魅力と言える。
極上車は限定車にも匹敵する高騰ぶりのVAB型WRX STI
EJ20エンジンを搭載する最後のモデルとなったのが、VAB型WRX STI(以下、VAB型)だ。このクルマは中古車市場でも軒並み300万円台後半のプライスを掲げ(新車価格は393万8000円〜413万6000円)、走行距離1万キロ以下の極上車であれば、SシリーズやタイプRA-Rといった限定車でなくとも700万円を超える個体も存在する。
もちろん年式が新しく、走行距離の少ない新車のようなVABなら、長く付き合ううえでも安心ではあるが、一般的にはちょっと手の出ない価格といえる。とはいえ、EJ20搭載車で絞った場合、初代インプレッサWRX(GC型)は、人気と希少価値で価格がさらに高騰。30年近く前のモデルながら300万円台という強気の価格となっている。
高騰不可避でもSTI系を外せば比較的安価なモデルもある
もちろんGC型に思い入れがあったり、どうしても欲しいというユーザーは、この高騰する価格帯のなかから探す必要があるのだが、そもそも純正部品もかなりのものが廃盤となり入手困難。さらに、中古部品自体もプレミア価格で取引されていることを考えると、イニシャルコストだけでなくランニングコストもかさむため、とてもいいクルマなのだがあまりお勧めできないモデルとなってしまった。
では、GDB系と呼ばれる2代目はどうだろうか? 2代目も初代ほどではないものの価格が高騰し、STI系は軒並み300万円台。走行距離がかさんでいるモデルや、修復歴があるモデルであればグッと価格が下がるものの、状態の良いモデルを探すのは至難の業。とくにホイールのP.C.Dが114.3化された2004年以降のモデル(E/F/G型)は人気も集中している。
ただ、同じEJ20搭載モデルでも、6速MTやブレンボブレーキなどを装備するWRX STIに対し、5速MTやスバル製4POTキャリパーなどを装備するGDA型と呼ばれるWRXは、程度も良くリーズナブルな価格のモデルも多い。
スペックこそ最高出力250psとSTI系に比べると控えめだが、それでも現行モデルの多くのクルマよりもパワフル! それに加えGDA型の魅力はなんといってもその軽快感。STIに比べ、なんと100kgも車両重量が軽い。激レアではあるが、年式によってはサンルーフの設定があるモデルもチョイスできる。また、STI系ではC型と呼ばれる2002年式以降のモデルで等長等爆化されたエキゾーストだが、初代インプレッサのようにドコドコという不等長サウンドを好むユーザーにもGDA型がオススメだ。