仙台:ウエットときどきアイスバーン
仙台市内は2日前に雪が降ったあとで、当日は曇りときどき小雨。路肩や歩道に雪が残るものの、路面はウエットだった。
試乗車に装着されていたスタッドレスタイヤは2021年にブリヂストンが発売したばかりの最新「ブリザックVRX3」で、サイズは215/55R18。たまに道の一部がアイスバーンになっている程度の状況では、いささかの不安も乱れも感じさせない。
ただ、市街中心部を離れて、郊外の整備状態が劣悪で凸凹が大きい舗装路にさしかかると、突き上げや横揺れがかなり目立つのが気になった。助手席の人がスマホの文字を読めないレベルだ。CX-30はクロスオーバーSUVとはいえ、地方でデイリーユースする人も当然多い。荒れた路面での乗り心地についてはもっと改善してほしいところだ。
山形蔵王:シャーベットと圧雪のミックス
続いて仙台から山形蔵王まで移動し、本格的な雪景色に。とはいえ山形の市街部もわりと暖かく、仙台と似たような路面状況だったが、蔵王温泉を目指して標高が上がるにつれ、雪が増えてくる。途中、道路のセンターライン側はシャーベット状で、左側は圧雪路、しかも深い轍(わだち)が刻まれているという、地獄のような区間になり、ヒヤヒヤしながら走ることに。
マツダの4WDシステム「i-ACTIV AWD」は、前輪駆動ベースの電子制御多板クラッチ式4WDで、
さらに山を登って一面の雪道になれば、「GVCプラス」の恩恵も加わって、自在なスノードライブをしばし満喫できたのだった。
燃費とコスパ:なまじディーゼルも優秀なのが悩ましい
今回の総走行距離は1515.8kmで、平均燃費は13.7kmL。もろもろの条件を考えれば悪くはないのだが、画期的に燃費がいい、というほどでもない。燃費の面ではガソリンとディーゼルの中間に位置しているのが、「SKYACTIV-X」の悩ましいところだ。
なお「X」エンジンの燃料はハイオク「推奨」。レギュラーガソリンを入れても走行可能ではあるものの、マツダの技術陣が味わってほしい出力特性は味わえない、ということ。
CX-30で3種のパワートレインの価格を比較すると、「Lパッケージ」の4WD・6速AT仕様で条件を揃えて、ガソリンの「20S」が303万5000円、ディーゼルの「XD」が330万5500円、そして「X」が371万3600円となっている。
コスパではディーゼルが最強で、しかも困ったことに、マツダのディーゼルエンジンは熟成の極みと言える境地に達しており、加速フィール、レスポンス、スムースさ、静粛性のいずれも、文句のつけようがないのである……。ディーゼルと「SKYACTIV-X」の間の約40万円の価格差は、これから段階的に縮まっていくものと期待したい。
しかし「SKYACTIV-X」でしか味わえないフィーリングと楽しさがあるのもまた事実だ。内燃機関の今後を巡って世界中が右往左往しているいま、ガソリンエンジンのさらなる可能性を追求するマツダの心意気にシンパシーを感じる人は、何はともあれ一度は試乗してみるといいだろう。
マツダCX-30 X Lパッケージのスペック
■CX-30 X L Package e-SKYACTIV X(4WD/6速AT)主要諸元
〇全長×全幅×全高:4395mm×1795mm×1540mm
〇ホイールベース:2655mm
〇車両重量:1550kg
〇乗車定員:5名
〇最小回転半径:5.3m
〇エンジン種類:直列4気筒DOHC
〇総排気量:1997cc
〇最高出力:140kW(190ps)/6000rpm
〇最大トルク:240N・m/4500mm
〇モーター最高出力:4.8kW(6.5ps)/1000rpm
〇モーター最大トルク:61N・m/100rpm
〇燃料タンク容量:51L
〇トランスミッション:6速AT
〇燃料消費率(WLTCモード):16.6km/L
〇サスペンション 前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム
〇ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
〇タイヤ 前・後:215/55R18
〇車両本体価格(税込み):371万3600円