じつは難しい名車の定義
ご存知のように最近は旧車ブームで、注目を集めているだけでなく、価格も高騰中だ。それらを踏まえて思うのが、今のクルマにはないデザイン。そしてキャブレターが吠える熱い走りなどはあるかもしれないが、とはいえ旧車をもてはやしすぎなのではないかということ。簡単に言ってしまえば、旧車であればなんでも名車的な感じだ。
年配の方ならわかるだろうが、旧車、つまり古いクルマのほとんどはエンジンの振動が大きいし、気持ちよく吹けるなんてマレ。ミッションも入りにくいし、サスペンションはバタバタして、乗り心地もあまりよろしくない。ブレーキも同様で、当時としては贅沢な4輪ディスクブレーキだとしても、イメージするほどは利かなくて、現代の道路では怖いこともある。
もちろんいいところもあって、手なづけたり、乗りこなす楽しみ。キャブレターならではのダイレクト感などは確かに魅力だ。ただ、それだけでは名車にはなりえないと思う。では、名車とはなにか? 古ければいいというわけではない、本来そこにあるものはなにか??
名車の条件に伝説は必要不可欠
いくつかパターンは考えられて、まず王道なのはなにかしらの伝説だろう。ハコスカがいい例で、技術屋集団プリンスの系譜を持ち、メカニズムもGT-Rであれば当時としてはレース技術であったDOHCや3キャブ。もちろんレースでの大活躍も華を添える。とくにレースでの活躍は重要だ。
そこに台数の少なさも加われば、名車ランクも上がる。トヨタ2000GTの337台やケンメリGT-Rの197台など、数字を見ただけでもワクワクするだろう。ただ、レースやメカニズム的な特殊性がないと、単なる売れなかったクルマになるので難しいところだ。その意味では単純に大いに売れたというのも、名車の条件だろう。
ひと筋縄ではいかない名車の条件
ただ注意なのが、同じクルマでも大ヒットとなった代もあれば、逆に売れなかった代もあったりと、ムラがあったりする点。そうなると、初代は名車なのに……などと言われるわけで、名車と呼ばれるのはひと筋縄ではいかない感じだ。
そして売れたに近いもうひとつの王道が、各メーカーを代表した車種というものだ。スポーツカーが中心になってしまうが、セダンやサルーンも同様で、トヨタならセリカやレビン/トレノ、スープラなど。日産であれば枚挙に暇がないが、セドリックやグロリア、さらには最近話題のシーマもこの例になるだろう。いわゆる現代にも名を残すクルマで、数えていくとけっこうな数だ。
知る人ぞ知る名車の基準もある
以上が名車の王道だ。ただ、これだけではないのがクルマの面白いところで、知る人ぞ知る名車というのもある。基準としては「今でも車名はお馴染みだし、売れたものの普通のクルマ。でも、きらりと光るものがある」というもの。たとえば「足のいいヤツ、カリーナ」や「ジウジアーロが大絶賛したユーノス500」など、こじらせた感じがあるのも魅力だったりする。
あとは、個人的な思い出があったりする自分だけの名車というのもあるかもしれないが、こちらは憧れのクルマといったほうがいいかもしれない。