現状はボディを優先したほうが吉
ただ現状を鑑みると、ボディの程度を優先したほうがいいように思える。一番の理由としては板金職人の激減がある。今や腐食に合わせて切った貼ったや叩いて形を作ることができるのは年配の職人が中心で、近所で探して簡単に見つかるものでもない。そもそも業界自体が人手不足だ。それゆえ、対応が可能なところには仕事が集中している。そうなると費用が相当かさむ可能性もある。その点メカのほうが、同様に厳しいとはいえまだマシな状況で、キャブレターをいじれる人はまだそこそこいる。
作業内容としても、程度の悪いボディを直すのは大変な手間と苦労が伴うし、それでも直せればいいということもある。最終的に直せないほどひどかったベース車というのも珍しくはない。海外のテレビ番組のように、チョイチョイと直して塗装してハイおしまいではないのだ。とくに1980年代のクルマはモノコックが当たり前なので、ひどいと剛性自体を保つことすら困難となる。その点メカであれば、最悪中古を探してきて、オーバーホールするなりして積み替えてしまえばいい。
最後にここまで解説しておいてなんだが、費用と手間でいうと、程度のいいものを高くてもいいので買ったほうが最終的に安いことが多い。とくに欠品が多いと探すのにひと苦労だし、あっても部品自体が超高騰中だ。そもそもオリジナルがどうなっているのかわからないこともあるので、ベース車から仕上げるにしても少なくとも欠品のないものを選ぶのがポイントではある。いずれにしても、ベースから仕上げるというのは今や手間や費用のためではなく、実際の作業を把握できるかということにシフトしている気がする。